レノボがThinkPad X1 CarbonとThinkPad X1 Yogaの2019年モデルの日本投入を発表した。前者はオンライン会議機能を強化して働き方改革を徹底サポート、後者は狭額縁モニタでアルミニウム筐体を採用した2-in-1だ。そして、どちらも14型スクリーンを装備している。

  • レノボは、2019年6月25日に新しいThinkPad X1 Carbon・Yogaを国内発表した

    レノボは、2019年6月25日に新しいThinkPad X1 Carbon・Yogaを国内発表した

  • 14型スクリーンを載せたThinkPad X1 Carbon 2019年モデル

「いつでもどこでも」使うため、PC画面は小さくなった

いわゆるモバイルノートパソコンは、長い間、13.3型スクリーンが主流だったが、それよりもひとまわり大きいスクリーンは作業の生産性を高めるのに貢献するはずだ。わずかな差かもしれないが、Windowsのスケーリングを1段階低く設定することができるかもしれない。そのことで画面に表示できる情報の量を増やすことができる。13.3型より大きくなると機動性の点で不利になるが、今のトレンドは、従来の13.3型フットプリントに14型のスクリーンということなので、それほど心配することはないだろう。

レノボが声高にアピールするのは「テクノロジーの力で、誰にとっても場所と時間に囚われない働き方を実現する」ということだ。そのために軽くて薄いノートパソコンは、必須のツールといえる。

だが、多くの企業では、従業員に貸与するパソコンは1台だけだ。1台だけで、あらゆる業務をこなすことを従業員に要求する。かつては、固定された自席に、17型、20型、24型といった比較的大きなスクリーンを置いて作業していたのに、「いつでもどこでも」を想定するために、13.3型が主流になってしまった。実際にパソコンを使う側にとってはダウングレードだ。

Excelのシートを同じ文字サイズで表示させた場合、今までよりも表示できるセルの数は少なくなる。あるいは小さな文字でガマンしなければならなくなる。考えてみれば、これはかなりひどい話でもある。そこまで極端ではないとしても、これまでノートパソコンの会社外への持ち出しが禁じられた上で、デスクで使うパソコンがノート型へ変わった際にも、15.6型程度は確保されていたはずだが、社外への持ち出しを解禁し、働き方改革を叫び始めたとたんに13.3型なのだ。実際にパソコンで作業することを考えると、ちょっと気の毒な話ではある。

テレワークは周辺機器をつなぐ絶好の機会

レノボの2019年6月時点での調査によれば、テレワーク時のデュアルモニター使用率は14.5%になるそうだ。個人的には、かなり高い比率だと感じた。同社が意図したわけではないし、確証は持てないというのだが、実は、会社でノートPCを使うときはそれ単体での利用を強いられても、テレワークでは好き勝手に周辺機器を接続して使える環境が手に入るのではないだろうか。ストレージなどと違ってモニタに関しては、情報漏洩などの心配も低い。つまり、乱暴な言い方かもしれないが、テレワークの方が恵まれた環境にあるということだ。

  • ThinkPad X1 Carbon(左)と、14型スクリーンのThinkVision M14(右)

その方向性を考えたのかどうか、レノボは、新しいThinkPadと同時に、14型モバイルディスプレイのThinkVision M14を発売する。2019年2月のMWC19(スペイン・バルセロナで開催されたモバイル通信関連イベント「MWC Barcelona」)で発表されていた製品で、発表当時は、あまりにもニッチで日本での発売はない可能性が高いと広報担当者はいっていたが、無事に発売されたのはうれしい限りだ。ThinkPadが14型になったのにあわせるためにも、14型でということなのだろう。

もっとも、このモニタはUSB Type-Cでの接続だ。ケーブル一本を接続するだけで、電源の供給と映像出力を同時にまかなえる。ただし、企業がUSBポートの利用を禁じている場合は、利用できない可能性もある。願わくば、そんな悲しいことが起こらないように、企業のシステム管理者は考えてほしいものだ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)