新生dynabook社が始動した。同社は都内で発表会を開催し、30周記念モデルとしてマグネシウム合金ボディの採用で779gの軽さを実現した13.3型IGZO液晶ディスプレイ搭載のdynabook Gシリーズを発表した。発表会には日本マイクロソフトの平野拓也社長、インテルからは鈴木國正社長がゲストとして登壇し、祝辞を述べた。
生き残りを賭けたdynabookの戦い
dynabook社は鴻海傘下のシャープ傘下だ。この発表会にも、シャープの副社長でもあり、dynabook社の会長でもある石田佳久氏が登壇、冒頭に挨拶した。
石田氏は、年初に米・ラスベガスで開催されたコンシューマー機器の展示会、CESのシャープブースにdynabookが展示されたことに触れ、世耕弘成経産省大臣も視察に訪れたことに言及した。
今年はdynabook30周年の年でもあり、記念モデルとしての第一弾が、dynabook Gシリーズだ。
同社では、今後、海外に積極的に展開していくことをすでに表明している。ただ、CESで展示された際にきいた説明員の話では、北米ではLTE搭載機の要求が高いこと、また、タッチ対応のニーズが強いことなどから、新dynabook Gシリーズの海外展開は難しく、国内専用モデルになる可能性が高いということだった。
LTEモデルにするには、専用のアンテナが必要だが、現在の筐体設計ではその場所を確保するのが難しい。また、タッチ対応についても、想定せずに設計が行われているため、北米のニーズを満たせないようなのだ。これに対してdynabook側は、仮に海外展開しても、この軽量さを武器にすれば、LTE対応がなくても、十分に海外で戦えるということだった。デルやHP、レノボといった巨人がひしめく中で、海外に進出して戦うのはたいへんだ。だが、それをやらなければdynabookは生き残れない。
dynabookの歴史は「数本の映画ができる」
発表会に出席した日本マイクロソフトの平野社長は、初代から30年間、マイクロソフトはdynabookとともに成長してきたとし、二人三脚の過去を振り返った。同氏が社会人になって最初に使ったパソコンはdynabookだったらしい。
また、インテルの鈴木社長はパソコンのバリューチェーンがこの30年の間に大きく変わり、変革とうねりの中で、開発、設計、製造、販売シーンが変遷を遂げてきたことに触れ、その歴史的、経験的なアセットがdynabookにはあり、これはもう数本の映画ができるんじゃないかと感慨深げに語った。
30周年を迎えたdynabookの歴史は、そのまま平成の歴史でもある。その平成が終わろうとしている今、新生dynabookは、どんな新たな一歩を踏み出すのか。dynabook Gシリーズは、同社を支えるだけの実力を持っているのかどうか。今後の積極的な展開を期待したい。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)