ドコモが海外パケット定額サービス「パケットパック海外オプション」の期間/国・地域限定のキャンペーン料金プランを2018年7月20日から9月30日までの期間限定でサービスするという。現在は24時間単位で課金するプランが提供されているが、それをさらに柔軟なものにするという施策だ。
ドコモの海外パケット定額プランが拡充
対象地域は中国、アメリカ本土・ハワイ・グアム・サイパン・アラスカ、韓国、タイ、香港、インドネシア、イギリス、オーストラリア、マカオ、プエルトリコ、米領バージン諸島となっている。日本人の旅行先はほぼ網羅されているが、台湾やシンガポール、ベトナムなどの東南アジア諸国、EU圏が含まれていない点には注意が必要だ。夏休みにこれらの国にでかけるのならチェックしておきたい。
具体的には利用プランとして、これまでの24時間980円のプランに加えて、1時間300円、3日間2,480円、5日間3,980円、7日間5,280円の期間を設定できるようになる。当然、日数が長いほうが割安となる。
海外でスマートフォンを使うと、気が遠くなるほどのパケット代が発生し、パケ死は確実という都市伝説がまことしやかに語られたのも今は昔、auが世界データ定額として24時間980円のサービスを開始した2016年8月以降、ずいぶんリーズナブルなものとなってきた。少なくとも24時間980円を覚悟すれば、キャンペーンによる限定地域以外でも、日本にいるときと同じようにスマホを使えるようになった。今回のドコモのキャンペーンに、競合他社がどのような対応を見せるかが楽しみだ。
海外で安くスマホを使うには
海外で安上がりにスマホを使うには、いろいろなノウハウがある。日本でWi-Fiルータを借りていく方法や、トラベル用のSIMを地域にあわせて契約して持参する方法、現地に到着後、現地事業者のSIMを調達するといった方法がある。また、アマゾンなどの通販で現地SIMをあらかじめ購入しておける地域もある。
今なお、24時間980円よりも大幅に安上がりにすませられる地域もあるが、仕事にしても遊びにしても、貴重な現地での時間をその調達のために使うよりは、多少コストが上乗せになってもローミングがラクという判断も現実的なものになってきた。
ちなみにEU圏ではすでにローミング料金が撤廃されている。EU圏内でサービスを提供している通信事業者との契約があれば、EU圏にいる限りは特別な追加料金を支払うことなく通信サービスを利用できるというもので、2017年6月15日から実施されている。ドイツの事業者と契約していれば、フランスに行こうがスペインに行こうが国外にいることを気にすることなく、いつものようにデータ通信ができる環境だ。
これはEUのデジタルシングルマーケット構想に基づくもので、人間そのものが国境をこえて自由に行き来ができ、通貨も同じユーロが使えるEU圏において、デジタルな環境も同じようにしようという考え方だ。
日本の「おもてなし」にローミングも
日本では東京五輪に備えて、無料Wi-Fiを充実させようといった動きもあるようだが、それはそれとして、日本を訪問するインバウンドに対するおもてなしとして、ローミング料金を下げるなり、少なくともオリンピック期間は無料にするような施策も必要なのではないだろうか。それが、日本という国をより楽しんでもらうことにつながり、多くのカネを日本に落としてもらえることになれば、その経済波及効果は決して小さくないはずだ。オリンピックが終わったあとののインバウンド数にも影響を与えるはずだ。
少なくとも、われわれがスマホを海外で使うことで、現地での行動のスタイルは大きく変わった。世界中どこにいても日本人が便利を享受できるというのも重要だが、外国人が日本の便利を満喫することを考えたいものだ。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)