ASUSが、日本市場におけるPC製品の2018夏秋モデル発表会を開催、実に、33もの製品を一気に発表した。その中には、先日のCOMPUTEX TAIPEIで発表されたばかりのZenBook Pro 15も含まれている。タッチパッドが液晶ディスプレイになっているという異色のモデルだ。

  • COMPUTEX TAIPEI 2018のASUSブースでは、天井に届くほどの巨大なZenBook Pro 15がディスプレイされていた

タッチパッドがタッチスクリーンに

ZenBook Pro 15は、パッと見には一般的な15.6型液晶搭載のクラムシェルノートPCだ。ただ、3モデルが用意されているうち上位の2モデルは、タッチパッドがタッチスクリーンとして機能する。

Windowsから見ると、このPCにはメインとセカンダリの2つのディスプレイが接続されている。メインは当然目の前の15.6型液晶。そしてセカンダリがタッチパッドだ。ASUSではこのタッチパッドをScreenPadと呼んでいる。

  • ZenBook Pro 15のScreenPad搭載モデル

セカンダリディスプレイだから、通常通りにデスクトップを表示することもできる。サイズと解像度は5.5型のフルHDだから、スマートフォンが横たわっておかれているようなものと考えてもいい。通常は、そこに何が表示されていようが、パッド表面を指でこすることでマウスポインタをコントロールするタッチパッドとして機能する。もちろんタップなどの操作も可能だ。

それに加えて、専用のアプリを使うことで、ランチャーとして、カレンダーとして、電卓として、音楽プレーヤーとして、テンキーとしてなど、さまざまな方法でこの画面を使うことができる。ASUSではこの専用アプリを開発するためのSDKも提供する予定だという。これらの専用アプリに最適化するために、ScreenPadは5.5型であるにもかかわらず、表示は100%でデフォルトでの拡大スケーリングは設定されていない。

  • ランチャーや専用アプリをタッチパッドに表示して使える

セカンドモニタで作業環境は大きく変わる

ケーブル一本でモニタを追加できるというのは、Windows PCであれば当たり前の機能としてWindows 95以前から提供されてきた。だが、そのハードルは高く、複数台のモニタをつないで使うユーザーというと、たとえばトレーダーが知られているくらいかもしれない。今や、数万円の投資でそこそこのモニタが購入でき、投資対効果が高いのだが、複数モニタの使い方はなかなか浸透しない。

だが、最初からセカンドモニタがついてくるとなれば話は別だ。たった5.5型とはいえ、それがあるとないではWindowsの作業環境は大きく違って来る。通常のデスクトップを表示するだけではなく、しかも、最適化された専用のモニタとして、タッチスクリーンとして使えるのだ。Officeの標準的なGUIであるリボンを並べたり、いつも気をつけていたいSNSのタイムラインを表示したりとアイディア次第でいろいろな用途に使える。

特定のアプリをメインのスクリーンでフルスクリーン表示していても、指先に余白としての作業領域があって、それを自由に使えるというのは大きなアドバンテージとなる。その便利さがわかれば、もっと大きなモニタをつないでみようという気にもなるかもしれない。

モバイルモニタも発売してほしい

残念ながら、今回の日本での発表には含まれていないが、ASUSは外付けのセカンダリモニタ製品の拡充にも熱心なベンダーだ。COMPUTEXでは、バッテリ内蔵スクリーンや、タッチ対応セカンドスクリーンのZenScreen Goシリーズなども出展していた。海外取材に24型モニタを連れて行く身としては、これらについてはぜひ日本でも発売してほしい。

伝統的なフォームファクタであるクラムシェルノートPCをそのまま使うというのではなく、そこにプラスアルファの工夫をし、もうワンランク上の使い方を提案するASUS。そのチャレンジは、PCの使われ方のスタイルに、ちょっとしたムーブメントを起こしそうだ。

  • ASUSの「ZenScreen Go」バッテリ内蔵モデル。バッテリを入れても薄型軽量で、900gを目標に開発中だという

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)