平昌五輪が開催中の韓国。その玄関口でもある仁川国際空港に到着し、預け荷物を受け取って到着ロビーに出るとauのロゴが目に飛び込んでくる。韓国キャリアのLGU+のカウンターに間借りをする形で、期間限定サポート窓口を開設しているのだ。
同社では2018年2月いっぱい、韓国無料キャンペーンを実施中で、韓国内での「世界データ定額」の利用料金が無料になっている。このサービスは、海外での利用時において利用開始から24時間の間、国内で契約しているパケットを消費するかたちでローミングができるもので、24時間あたり980円で提供されているが、それが韓国内に限り2月一杯は無料なのだ。
2016年8月にサービスインして以来、「世界データ定額」は好評で、顧客からもきわめて満足度が高い評価を得ているそうだ。ただ、実際に使ってもらうまでのハードルが高く、かつての「パケ死に神話」が根強く残っているのだそうで、そのイメージを払拭したいともいう。
海外でのデータ通信利用はもう当たり前
スマホを海外で使うというのはQOLの点でも欠かせないものになってきていて、実際、海外でのデータ通信利用の利用率は上がっているとauはいう。従来のサービスである段階定額の海外ダブル定額の上限2,980円/日より圧倒的に安い上に、たとえばWi-Fiルータを日本でレンタルしていくよりも手軽だし、飛行機に乗っている時間分まで支払う必要がなく無駄もない。消費者にとってはきわめてリーズナブルなサービスだ。
ドコモはずっと「海外1dayパケ」を一部の国を対象にデータ容量無制限キャンペーンで980円/日で提供してきたが、2018年3月からはサービスを終了し、先行するauと同じように日本で契約しているパケットプランを消費する「パケットパック海外オプション」に切り替わる。料金もauと同じ980円/24時間だ。
おりしも2月15日には、日本通信と旅行大手のエイチ・アイ・エスの協業による合弁会社H.I.S. Mobile株式会社が設立された。スマホサービスの新会社として旅行を楽しくすることに注力するべく営業を開始している。
当初は一般的なMVNO格安SIMを提供、2018年5月1日には1枚で70カ国に対応するSIMサービスの提供を開始するという。
大手の海外ローミング値下げで価格破壊なるか
その発表記者会見でエイチ・アイ・エス代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏は、その発表記者会見において「旅行はこんなに安いのに、通信はちっとも安くないじゃないか。今、家族で行くハワイ旅行などでは、場合によっては海外渡航費の2割が通信費にかかってしまう、これはよくない。儲けは消費者にもっと還元すべきだ。限られたMVNOの市場を取り合うのではなく、年間1,800万人前後の海外渡航者に少しでもおトク感をもたらすビジネスを成立させたい」とした。
さらに、auやドコモがローミング料金を値下げに近い施策でカバーしようとしている点について澤田社長は「大手がローミング料金を安くするのは大歓迎。限界まで安くなればわれわれの会社の役割も終わる(笑)」ともらす。
競争の中で一気に価格破壊を起こしてほしい。ちなみにH.I.S. Mobileでは、200MBで500円/日程度の額を想定し、日本で使う普通の感覚で海外でのスマホ利用を促進していきたいとしている。