今から12年前、インテルが「パソコンと健康=PCヘルスケア」という領域に注力していた時期があった。コンティニュアというアライアンスを設立し、医療機器メーカーやハイテク大手各社がネットワーク機器を使った個人の健康管理の向上を目指したのだ。
ヘルスケアをデジタルで推進
今後の社会は医療にもハイテクノロジーが使われるのが当たり前となるが、高齢化社会の到来とともに医療費がかさむことも問題になっている。高齢だから病気になりそれを治すのにカネがかかるという悪循環を断ち切るために、病気になる前に、たとえ病気になったとしてもできるだけ早期に発見するためにも個人による健康管理は重要だ。
コンティニュアアライアンスの創設メンバーとしては、BodyMedia、シスコシステムズ、GEヘルスケア、IBM、インテル、Kaiser Permanente、Medtronic、モトローラ、Nonin、オムロン ヘルスケア、松下電器産業(パナソニック)、Partners HealthCare、Polar Electro、ロイヤルフィリップスエレクトロニクス、RMD Networks、 サムスン電子、シャープ、The Tunstall Group、Welch Allyn、Zensysなどそうそうたるメンバーが並ぶ。
当時のリリースを見ると、会長に就任したインテルコーポレーションのデジタルヘルス事業本部、ヘルスケア・デバイス・スタンダード担当ディレクターであるデイビッド・ウィトリンガー(David Whitlinger)氏は、
「このアライアンスはまず何よりも、自分自身や周囲の人々の健康維持および管理に必要な情報を提供することによって、社会に貢献しようとするものです。このアライアンスを通じ、一見ばらばらに見える様々な業種が協力し合い、接続規格に準じた製品やサービスを結集させて、数多くの人々が、自身や家族の健康管理に必要なツールを提供できるようになります」
とコメントを寄せている。
個人の健康データは"連携"が空白に
先日、血圧計が必要となって製品を物色しているときに、このことを思い出した。手元には当時のコンティニュア対応血圧計があるが、さすがに10年も前の製品が正確性を維持していることを期待するのは酷というものだ。そこで新しい製品をいろいろ調べているうちに、コンティニュアアライアンスが現在も存在しているのを知ってちょっと驚いた。
存在しているどころか、IoTの時代になって、M2M的なソリューションを含め、さらに進化しているようなのだ。当時はBluetoothで測定結果をPCに送信する程度の対応しかできていなかったが、今はもっと高度なことができるのだろう。もっともこれらの対応の恩恵を一般的なエンドユーザーが得ることはできなくなってしまっている。どちらかといえばB2Bの領域で地味につながっているというイメージだ。
エンドユーザー領域は各社が各社なりのソリューションをてんでばらばらに提供している。活動量計などはその典型だ。しかし、スマホ内蔵のセンサーとアプリを使ってのヘルス情報システムなどは充実してきている。
本当は、IoTの時代だからこそ、コンティニュアアライアンスがめざしていた連携ということを考えなければならないのに、その部分がなんとなく空白状態になっているのは残念だ。テクノロジー的には単純でその気になればすぐにでもできそうなことができていないのはとてもくやしい。医者で毎日の血圧を測って記入するように渡された紙の血圧手帳を見てそう思った。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)