東芝「dynabook Satellite WXW」
右側面。前方からUSB2.0×4、モデム、DVDスーパーマルチドライブ、セキュリティロック |
左側面。前方からExpressCardスロット、IEEE1394(4ピン)、HDMI、Sビデオ、USB2.0×2、LAN、D-Sub15ピン、電源コネクタ |
GeForce 8700M GT搭載のハイエンドノート
東芝が今年6月13日から受注を開始した「dynabook Satellite WXW」は、ノートPCの概念を打ち破るようなハイエンドなスペックを盛り込んできた意欲的な製品である。そのスペックについては後半で述べることにして、まずは外観上の特徴をいくつかピックアップしておきたい。
本体サイズは約399(W)×288(D)×36~52(H)mmで、重量は約3.9kg。17.1型ワイドサイズの液晶を搭載していることを考えれば極端に大きなサイズとはいえないが、ズシリと安定感がある作りになっており、当然ながら据え置きでの利用が前提となる製品である。
この本体サイズによって得られた恩恵の一つにキーボードが挙げられる。キーピッチ19mmという余裕ある配置ながら、独立したテンキーを持っているのだ。同社製品ではQosmioシリーズの一部で17型ワイドクラスの液晶を搭載しているが、こちらはAV向けノートという性格もあって本体サイズの大きさをスピーカーのエンクロージャとして活用している。一方、本製品はキーボードのスペースを割くという方向性にしているわけだ。
ちなみに、キーボードの配列は109キーの右Windowsボタン以外をすべて独立して持っている。、デスクトップ向けキーボードを使っている人でも、面倒さを感じることはないだろう。1点だけ苦言を呈するならば、Enterキーが小さいうえに、テンキーに近寄りすぎているのが気になった。成人男性としてそれほど規格外ではない筆者の手でもキーピッチは19mmと数字以上に余裕を感じるものであり、もう少し詰めてEnterキーを浮きあがらせる配慮があってもよかったかも知れない。ただ、現在のノートPCではこれ以上望むべくもない充実したキーであるのは確かである。
ちなみに、Qosmioとは違ってキーボードにスペースを割いてしまってはいるが、harman/kardonブランドのスピーカーが利用されており、サブウーファを含めや4+1スピーカー構成となっている。さすがにQosmio Gシリーズのスピーカーの音を聞いたときのインパクトには劣るが、ノートPCの内蔵スピーカーとしては十分すぎる音の豊かさを持っており、本製品の対象を考えれば、キーボードの充実によって得られるトレードオフとしては、それほど目立つポイントとは言えないと思う。
本体サイズだけでなくACアダプタもかなり大ぶり。ちょっと屋外へ持っていこうという気になるレベルではなく、本製品の移動は屋内に限定されるだろう |
付属のバッテリは10.8v/6000mAhのリチウムイオンバッテリ |
GeForce 8700M GTを搭載する充実のスペック
さて、なんといっても本製品の特徴は、そのスペック面にある。CPUはCore 2 Duo T7300、チップセットはIntel PM965、無線LANにはIntel PRO/Wireless 3945ABG Network Connectionを使用しており、Santa Rosaプラットフォームに準拠した製品となる。また、Turbo Memoryも1GB搭載している。
メモリスロットは2スロットで、2GBモジュール2枚で最大4GBまで搭載が可能。プリインストールされるWindows Vista Home Premiumを利用するうえでは、デスクトップ並みとなるメモリ搭載可能容量は魅力の一つとなるだろう。
そして、本製品最大の目玉が、ビデオ機能だ。本製品では、NVIDIAが6月12日(米国時間)に発表した、「GeForce 8700M GT」を搭載しているのだ。本製品の発表は、このGeForce 8700M GTに合わせて発表されており、まさに世界初の搭載製品となるわけだ。
モバイル向け機能が追加された以外はGeForce 8シリーズのアーキテクチャを踏襲したGPUで、SP数は32個、コアクロック625MHz、メモリクロック1.4GHz(700MHz)となり、デスクトップ向け製品ではGeForce 8600 GTと同GTSの中間に入るパフォーマンスが期待できる。
Windows Vistaのエクスペリエンスインデックスでは、グラフィックスのスコアで満点となる5.9をマークしており、Windows Aeroの快適さ云々は述べるまでもなく、ゲーム用途を強く意識できるパフォーマンスになる。そのゲーム用途での指標となる3DMark06のスコアも良好だ。
この3DMark06のスコアがどのぐらい凄いかというは、マイコミジャーナル内にあるビデオカードのレビュー記事などと比較してみると良く分かる。例えば、こちらには一世代前のハイエンドクラスを一同に会したスコアが掲載されているが、この中のSM2.0やHDR/SM3.0テストのスコアと比較すると、本製品のグラフィック性能の高さを感じることができるだろう。ほんの数か月前まで上位に位置付けられていたビデオカードと肩を並べるパフォーマンスを持っているわけで、ゲーム用途にも十分耐えうる製品といえるわけだ。
また、GeForce 8シリーズは前世代のハイエンドビデオカードとは異なり、Direct X10に対応するというメリットもある。また、HDMI出力もサポートしており、本製品でも実装されている。より大画面でゲームを楽しむことも可能なのである。
本製品のスペックのうち、唯一残念な面で意外性を感じる部分があるとすれば、光学ドライブで、こちらは今や当たり前の存在となったDVDスーパーマルチドライブとなっている。このスペックならば、HD DVDなどの次世代光学ドライブという選択もあったと思うが、ゲーム用途にフォーカスした製品という性格が色濃い部分でもある。
ただ、この光学ドライブの割り切りなども功を奏したのか、価格はメモリ1GBの「PAWW79CLN10W-Q」が219,800円、メモリ2GBの「PAWW79CLN20W-Q」が234,800円と、わりとお手ごろ感のあるプライスとなっており、こちらは良い意味で意外性を感じる部分だ。この価格で、Windows Vistaへの移行が行えるだけでなく、ゲーム用途にも耐え得るパフォーマンスも得られると考えれば、非常にコストパフォーマンスの高いノートPCといえる。
GeForce 8700M GTの動作クロック、コアクロック625MHz、メモリクロック1.4GHz(700MHz DDR)となる |
本製品におけるWindows Vistaのエクスペリエンスインデックス。グラフィックスの項が満点となるノートPCは貴重だ |
裏面の主なパネルを外したところ。中央右寄りに二つのメモリスロット、左手前がHDD。右手前のスペースは用途不明 |
本体左側面にHDMI端子とSビデオ出力を備える。内部ディスプレイの映りはかなり良好で、解像度も1680×1050ドットと十分に広く、パネルサイズに不満がある場合にのみ活躍することになりそうだ |
ベンチマーク結果
PCMark05 | PCMark | 5194 |
---|---|---|
CPU | 4933 | |
Memory | 4324 | |
Graphics | 5899 | |
HDD | 4773 | |
3DMark06 Build 1.1.0 | CPU Score | 1754 |
3DMark06 Build 1.1.0 800×600ドット |
3DMark | 6202 |
SM2.0 | 2730 | |
HDR/SM3.0 | 2622 | |
3DMark06 Build 1.1.0 1024×768ドット |
3DMark | 5338 |
SM2.0 | 2322 | |
HDR/SM3.0 | 2120 | |
3DMark06 Build 1.1.0 1280×1024ドット |
3DMark | 4318 |
SM2.0 | 1850 | |
HDR/SM3.0 | 1596 | |
3DMark06 Build 1.1.0 1680×1050ドット(DbD) |
3DMark | 3675 |
SM2.0 | 1584 | |
HDR/SM3.0 | 1275 | |
バッテリ駆動時間 | 1時間47分07秒 |
スペック表
CPU | Intel Core 2 Duo T7300 |
---|---|
チップセット | Intel PM965+ICM8-M |
メモリ | DDR2-667 1GB/2GB(最大4GB) |
グラフィックスチップ | NVIDIA GeForce 8700M GT(256MB+メインメモリと共有) |
ディスプレイ | 17.1型ワイドWSXGA+ TFTカラー Clear SuperView液晶(1680×1050ドット) |
HDD | 120GB(シリアルATA、5400rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
オーディオ | HD Audio |
有線LAN | 内蔵(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T) |
無線LAN | 内蔵(IEEE802.11a/b/g) |
Bluetooth | なし |
モデム | 内蔵 |
Webカメラ | 内蔵(130万画素) |
メディアカードスロット | 内蔵(SD/MS/xD対応) |
拡張カードスロット | ExpressCard 54/34スロット |
インタフェース | 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン)、Sビデオ出力、HDMI出力、USB2.0×6、光デジタルオーディオ出力、ヘッドホン出力、マイク入力、オーディオ入力、IEEE1394(4ピン) |
本体サイズ | 399(W)×288(D)×36~52(H)mm |
本体重量 | 約3.9kg(標準バッテリパック装着時) |
バッテリ駆動時間(公称) | 約2.3時間 |
OS | Windows Vista Home Premium |
Office | なし |
その他の主なソフトウェア | タイトーメモリーズ、Flip Viewer、Corel Snapfire Plus SE、Corel Paint Shop Pro Photo XI(体験版)、TOSHIBA DVD Player、TOSHIBA Disc Creator、TOSHIBA Recovery Disc Creator、ナップスターアプリ、McAfree Internet Security Suite Basic Edition 2007、東芝指紋認証ユーティリティなど |