エプソンダイレクト「Endeavor Pro4000」

Endeavor Pro4000

前面部。5インチベイ×3、3.5インチベイ×1、USB2.0×2、ヘッドホン出力を持つ

背面部。一般的なATXのレイアウトと大きな違いはない。シリアルポートは持たないものの、PS/2やパラレルなどのレガシー端子も備えている

ワークステーションを彷彿とさせる剛健ケース

エプソンダイレクトの「Endeavor Pro4000」は、非常にシンプルな外観を持つミドルタワーPCだ。ミドルタワー製品は、最近では、同社を初めとするBTOメーカーやショップブランドPCが中心となっているが、性能や拡張性のわりに価格が抑えられていることが多く、本体サイズや見た目に捉われない場合は有力な選択肢といえる存在だ。

本製品の大きな特徴は、この一見地味ともいえるケースに隠されている。最小構成時に約19.6kgという超重量級のケースは、最近では珍しいスチール製。自作向けケースではアルミやSECCなどの軽量素材を利用したものが増えており、スチール製の強固なケースはめっきり減ってしまった。

しかしながら、スチール製ケースの安定感を好む人もいる。そうしたユーザーにとって、ケースだけでも欲しいと思わせるだけの魅力を持っているのが本製品だ。メーカーも、ケースの安定感にはこだわりがあるのか、本製品は内部にリブ代わりともいえる補強パーツも加えられている。ダクトや拡張カードの脱落防止機能も兼ねており、非常に合理的な作りだ。

合理的といえば、持ち運び用の取っ手や専用キャスターもオプションで用意されているのも好印象だ。このケースの重さは本製品の弱点と見る向きもあるだろうが、こうしたオプション類でカバーできるわけである。キャスターはもちろん、この取っ手も一体成型ではないので、持ち運びのときのみ取り付けておき、不要ならばドライバーを利用して外してしまうこともできる。

ケース内のエアフローもよく考えられている。ファンはCPUクーラーと背面ケースファン、ビデオカード、電源の4か所のみだが、電源部と5インチベイはきっちりと仕切りが設けられて別のエアフローとなっているほか、CPUクーラーはダクトに直結させているので、冷却は背面ケースファンのみで十分に冷却可能、という発想なのだろう。もちろん冷却を分けるということは、各部位の平均的な温度を下げやすいという面もあるので、冷却を売りとした自作用ケースではよく見られる手法だ。

さらに、ケース内の大部分はツールレスでメンテナンスが可能だ。側面パネルはもちろん、各種ベイ、ケース内の仕切り、ファンなどは、いずれも青いプラスチックパーツによって固定されているのみなので、ドライバーを利用することなく脱着できる。

また、HDD用のシャドウベイのみはフロント部分からアクセスできるようになっている点も、PC製品としてはユニークだ。ちょうど本棚から取り出すような感覚で脱着が可能。RAID1やRAID5を組んでいる場合のトラブル発生時にも付け替えが容易だし、鍵によって扉が固定されるので物理的な盗難に対する抑止力にもなりそうだ。このあたりはワークステーションやサーバーケースに近い仕組みといえるだろう。

ただ、このガイドレールをHDDに固定するさいにドライバーによるねじ止めが必要な点や、ポートマルチプライヤーを利用しているわけではないのでHDD1台につきケーブルが1本必要になる点などは、次の製品で検討してほしい箇所である。

スチール製のケースは安定感に優れている。また、青いプラスチックパーツによって、メンテナンス時にはほぼツールフリーが実現されている

シャドウベイはフロント下部から引き出し状に脱着が可能。最大4台を収納できる

4台のHDDに対して、電源ケーブルは2本でOKだが、シリアルATAケーブルは各1本接続する必要がある

強力スペックをさらにカスタマイズ可能

さて、本製品はBTOによる購入が可能な製品だ。チップセットにIntel 975Xを搭載したマザーボードをベースとしたシステムとなり、これは固定されているが、そのほかの主なポイントを、いくつかピックアップしておきたい。

まず、CPUにはCore 2 DUO全製品に加え、クアッドコアのCore 2 Quad Q6600、Core 2 Extreme QX6700を選択可能となっている。本製品の発表は昨年8月であるが、その後に登場したCPUをいち早く選択可能にしている。今後、登場が予定されているCPUに対しても、冷却面などの問題がなければいち早い対応が期待できそうだ。

メモリは最大8GBまで選択が可能だが、Windows XP Professional x86 Edition以外を選択した場合は最大3GBとなる。Windows Vistaの登場でメモリ容量に対するニーズが増えているが、本製品で選択可能なWindows Vistaはx86版のみなので、4GBの選択肢を作ることに大きなニーズはないのだろう。ただし、本製品のメモリはDDR2-667である点には要注意だ。これほどのハイエンド環境ならば、DDR2-800にこだわってほしかったところではある。

HDDは80/160/250/400/500GBから選択可能で、最大2台を搭載した状態で購入できる。ただし2台搭載して購入するさい、RAIDを構築じた状態で入手できるのはWindows XPを選択した場合のみで、Windows Vistaを選んだ場合はセパレート構成となってしまう。とはいえ、Windows VistaではICH7RのRAIDドライバを標準で持っており、自らの手で構築を試してみる価値はあるだろう。

続いてはビデオカードである。ここは非常にバリエーションに富んでおり、以下のビデオカードが選択可能だ。

  • ATI Radeon X1950XTX
  • ATI FireGL V7200
  • ATI FireGL V3300
  • NVIDIA GeForce 7600GT
  • NVIDIA GeForce 7300GS
  • NVIDIA Quadro FX1500

Direct X9に最適化したコンシューマ向けビデオカードだけでなく、OpenGLに最適化されたワークステーション向けビデオカードを選択可能な点が大きな特徴となっている。本製品はハイエンドPCにカテゴライズされる製品ではあるが、CG制作などの専門的な用途にも耐え得るとメーカーが見ているのだろう。

逆にコンシューマ向けのハイエンドPCという視点で見ると、CrossFireに対応していないのは物足りない印象も受ける。ただ、この点については、発表当時はCrossFire構成でも購入が可能であったのが、のちに取りやめられた経緯がある。やはりマルチGPUとなると、ハイエンドPCを求めるユーザー層のなかでも、さらにニッチになるのだろう。とはいえ、今ではシングルビデオカードでもRadeon X1950 XTXを上回るパフォーマンスを持つGeForce 8800シリーズという選択肢もあるわけで、ビデオカードの選択肢についてはラインナップの見直しを期待したい。

ちなみに今回テストのために借用した環境を簡単に紹介しておくと、

CPU Core 2 Quad Q6600
メモリ DDR2-667 1GB×2
ビデオカード Radeon X1950 XTX
HDD 250GB×1
OS Windows Vista Ultimate

といった構成になるが、パフォーマンスはさすがに上々だ。現状で、このスコアを上回るPCを持っているユーザーのほうが少ないだろう。この構成になるとさすがに30万を超えてしまうが、コストパフォーマンスの面では決して悪い印象は受けない。

冒頭でも述べたように、とにかくケースがよくできており、パーツ交換を繰り返すことで長く愛用できるPCなのは間違いない。パフォーマンスや構成パーツにこだわりがあるヘビーなPCユーザーにとって有力な選択肢といえる。

メモリがDDR2-667になっている点は、少々こだわりが足りないと思う点。ただ、(構成によっても実際のモジュールは異なると思うが)試用機には信頼性に定評あるSanMax製モジュールが利用されており、この姿勢はうれしい

ビデオカードはバリエーションが豊富。最上位モデルはRadeon X1950 XTXとなっており、今回の試用機にもこれが搭載されていた

主なパーツを展開したデバイスマネージャ画面

ベンチマーク結果

PCMark05 PCMark 7365
CPU 7670
Memory 5127
Graphics 6862
HDD 5184
3DMark06 Build 1.1.0 CPU Score 3476
3DMark06 Build 1.1.0
800×600ドット
3DMark 8253
SM2.0 2897
HDR/SM3.0 3703
3DMark06 Build 1.1.0
1024×768ドット
3DMark 7599
SM2.0 2709
HDR/SM3.0 3248
3DMark06 Build 1.1.0
1280×800ドット(DbD)
3DMark 6640
SM2.0 2423
HDR/SM3.0 2677

スペック表

CPU Core 2 Extreme QX6700
Core 2 Quad Q6600
Core 2 Duo E6700
Core 2 Duo E6600
Core 2 Duo E6400
Core 2 Duo E6300
Core 2 Duo E4300
チップセット Intel 975X+ICH7R
メモリ DDR2-667 512MB~8GB
グラフィックスチップ ATI Radeon X1950 XTX
ATI FireGL V7200
ATI FireGL V3300
NVIDIA GeForce 7600 GT
NVIDIA GeForce 7300 GS
NVIDIA Quadro FX1500
ディスプレイ オプション
HDD 80~500GB(2台選択可能、最大4台搭載可能)
光学ドライブ スーパーマルチドライブ
コンボドライブ
DVD-ROMドライブ
CD-ROMドライブ"
オーディオ HD Audio
有線LAN 1000/100/10Base-T(X)
無線LAN なし(USB接続のオプションあり)
Bluetooth なし
モデム オプション(56Kbps/FAX14.4Kbps)
Webカメラ なし
メディアカードスロット なし
拡張カードスロット PCI Express x16×2、PCI Express x1×1、PCI×3
インタフェース USB2.0×6、LAN×1、ヘッドホン出力×1、ライン入力×1、マイク入力×1、スピーカ/ライン出力×1、センタースピーカ/サブウーファ出力×1、リアスピーカ出力×1、PS/2×2、パラレル×1
本体サイズ 217(W)×501(D)×431(H)mm(天面ハンドルなし)、217(W)×501(D)×472(H)mm(天面ハンドルあり)
本体重量 約19.6kg (最小構成時)
OS Windows Vista Ultimate
Windows Vista Business
Windows Vista Home Premium
Windows Vista Home Basic
Windows XP Professional x64 Edition
Windows XP Professional Service Pack2
Windows XP Home Edition Service Pack2
Office オプション
その他の主なソフトウェア -