日本ヒューレット・パッカード「HP Pavilion Notebook PC tx1000/CT」
右側面インタフェース。前方よりUSB2.0、LAN(GbE)、拡張ドック用コネクタ、D-Sub15ピン、Sビデオ出力 |
左側面インタフェース。前方より光学ドライブ、カードリーダー(CF/SD/MS/xD)、ExpressCard/34スロット、電源コネクタ |
前面部。向って左端が電源スイッチ。中央はリモコン受光部、S/PDIF対応オーディオ出力、ヘッドホン出力、マイク入力の各インタフェース。右端は無線LANスイッチ |
本体背面。右端に集中してモデム、USB2.0×2、セキュリティロックが配置される |
指でも操作できる感圧式タッチパッドを搭載
HP Pavilion Notebook PC tx1000/CTは、いわゆるコンパーチブル型のタブレットPCだ。タブレットPCは2002年にWindows XP Tablet PC Editionが発表され話題にのぼったが、一般のノートPCよりも割高であった。しかし、Windows Vistaでタブレット機能が標準サポートされ、改めてその機能が見直されるなか、最少構成価格12万9990円から購入できる本製品が投入されたわけである。
タッチパネルは電磁誘導方式ではなく感圧式を採用しており、ペン操作だけでなく指で操作することも可能だ。感圧式には指で操作できる一方、電磁誘導方式は画面に手や物を置いても反応しないというのが逆に利点にもなり得るわけで、善悪の二元で判断はできない。ただ、本製品の感圧式タッチパネルは指で触れても、それほどセンシティブな反応は見せず、おそらく意図的に感度を下げているのではないかと思う。ペン操作もやや強めに力を入れる必要があり、カーボン紙にボールペンで書く程度の筆圧の操作感であった。
そのディスプレイは、12.1型WXGA(1280×800ドット) を採用。タッチパネル用のセンサーの影響か、やや霞んだような色合いになる。また、写りこみが非常に大きく、さらに視野角が狭い点も気になった。とくに上方向から覗き込むような体制になったときの輝度が大きく落ち込むので、使用するシチュエーションには気を遣うかもしれない。
ペンだけじゃない操作の自由度の高さ
本製品のようなコンパーチブル型タブレットPCの利点は、キーボードを搭載することで、ペンを利用したタブレットPCとしてだけでなく、通常のノートPCとしても利用できる点だ。そのキーボードは最前列で一部キーピッチが狭く、とくに「Fn」と「Windows」の両キーの狭さは使い勝手にも影響する印象を受けた。ただ、それ以外のキーについては目立った歪な配列もなく、キーピッチも適度に確保されている。
キーボード手前にはタッチパッドも用意されている。本製品はZen Designと呼ばれる和風デザインを施していることをアピールしているが、このタッチパッドも独特のデザインを持っており、反応するエリアをディンプル加工したものになっている。
そして、もう一つ用意された入力デバイスがリモコンだ。HP製ノートではおなじみのExpressCardスロットに収納可能なリモコンが用意されており、Vista世代の製品から投入されたMedia Centerボタン付きのタイプが付属している。12.1インチのノートでリモコンを使うシチュエーションというのは限られるだろうが、操作の選択肢が多いのはうれしい。
また、ディスプレイ脇にはPCの電源を入れない状態でもDVDなどを再生できる「HP Quick Play」用の操作キーも用意されている。この当たりのボタン類はピュアタブレット形状にしても利用できるほか、画面のローテーションボタンなども用意されており、コンパーチブル型タブレットPCしての工夫を感じさせる部分だ。
キーボードとタッチパッド。キーボードの配列やキーピッチは標準的だが、手前の一部キーはピッチが極端に狭くなっているので要注意。このほか、ディンプル状のタッチパッドや、タッチパッドのオン/オフスイッチ、音量ボタンを備える |
スペック上の弱点はグラフィックだがAeroは問題なし
本製品はBTOによるスペックのカスタマイズが可能な製品となるが、今回試用したのは、CPUにTurion X2 TL-60、メモリ2GB、160GB HDD、スーパーマルチDVDドライブといった構成で、選択できるなかでもハイスペックなモデルとなっている。
そのぶんベンチマーク結果も上々で、CPU、メモリ、HDDはノートPCとしてはかなり良いレベルにあるといえる。ただ、グラフィックだけは大幅にスコアが落ち込んでいる。とはいえ、統合型チップセットであるGeForce Go 6150を利用しているので致し方ない部分ではあるし、Windows VistaのAeroの表示にストレスを感じるほどではなかったので、ゲームニーズ以外であれば問題ないレベルだ。
このほか、バッテリは4セルの標準バッテリと、6セルの大容量バッテリが用意される。公称駆動時間は標準2時間、大容量3時間となっている。ここでは、CPUの省電力機能を有効にし、液晶輝度最大の状態で動画を再生し続けた場合の駆動時間というバッテリには少々厳しい状態の駆動時間を示しているが、それが1時間強といったところ。バッテリ駆動で仕事をし続けるというニーズには厳しい駆動時間といえる。また、付属するACケーブルが太く、しかもACアダプタ側はミッキー型のコネクタなので別のケーブルへ変更することが難しい点もモバイル用途では敬遠されそうだ。
ただ、重量は2kg台なので、持ち出しがまったく非現実的な製品とはいえない。また、QuickPlayやリモコンなどのマルチメディア機能が充実する一方で、指紋認証のようなビジネス用途の最低限の要件も押さえてあり、ホームユース、ビジネスユースの両方で活用できるだろう。これに入力方法の柔軟さもあるわけで、ゲーマー以外のあらゆるユーザーが利用できる、万能選手のような製品だ。
本体底面。HDD、メモリ、無線LANはネジ止めされたカバー内に収納される。光学ドライブはツールレスで脱着が可能だ |
標準バッテリ(左)と大容量バッテリ(右)。大容量バッテリ装着時は本体背面から15mmほど飛び出す格好となる |
付属のACアダプタとケーブル。ACアダプタのサイズは標準的だが、ケーブルがデスクトップPCのACケーブル並の太さを持つ。ミッキー型コネクタのためケーブルを変更しようにも入手性はよくないだろう |
持ち運び時に光学ドライブを取り外して利用するためにウェイトセーバーも付属。ウェイトセーバーと標準バッテリ利用時の構成で、本体重量は2kgとなる |
ベンチマーク結果
PCMark05 | PCMark | 3156 |
---|---|---|
CPU | 4032 | |
Memory | 3483 | |
Graphics | 1078 | |
HDD | 3792 | |
3DMark06 Build 1.1.0 | CPU Score | 1487 |
3DMark06 Build 1.1.0 800×600ドット |
3DMark | 278 |
SM2.0 | 127 | |
HDR/SM3.0 | - | |
3DMark06 Build 1.1.0 1024×768ドット |
3DMark | 225 |
SM2.0 | 103 | |
HDR/SM3.0 | - | |
3DMark06 Build 1.1.0 1280×800ドット(DbD) |
3DMark | 196 |
SM2.0 | 90 | |
HDR/SM3.0 | - | |
バッテリ駆動時間 | 標準バッテリ(4セル) | 1時間05分05秒 |
スペック表
CPU | AMD Turion 64 X2 TL-60 |
---|---|
AMD Turion 64 X2 TL-52 | |
AMD Turion 64 MK-36 | |
チップセット | NVIDIA GeForce Go 6150 |
メモリ | DDR2-667 512MB×2 |
DDR2-667 1GB×2 | |
(最大2GB) | |
グラフィックスチップ | GeForce Go 6150(メモリ最大128MB) |
ディスプレイ | 12.1WXGAウルトラクリアビュー&タッチパネル機能付き |
(1280×800ドット/最大1677万色) | |
HDD | 80GB(シリアルATA、5400rpm) |
120GB(シリアルATA、5400rpm) | |
160GB(シリアルATA、5400rpm) | |
光学ドライブ | スーパーマルチドライブ |
オーディオ | HD Audio準拠 |
Altec Lansing製ステレオスピーカー内蔵" | |
有線LAN | 内蔵(10/100/1000BASE対応) |
無線LAN | 内蔵(IEEE802.11a/b/g対応) |
Bluetooth | 内蔵 |
モデム | 内蔵(56Kbps/FAX14.4Kbps) |
Webカメラ | なし or 内蔵(130万画素CMOS) |
メディアカードスロット | 内蔵(CF/SD/MS/xD対応) |
拡張カードスロット | ExpressCard/34スロット |
インタフェース | 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン)、Sビデオ出力、USB2.0×3、マイク入力、ヘッドホンライン出力(うち1ポートはS/PDIF対応) |
本体サイズ | 308(W)×223(D)×33(H)mm |
本体重量 | 約2.0kg(4セルバッテリ、ウェイトセーバー装着時) |
バッテリ駆動時間(公称) | 2時間(標準バッテリ使用時) |
3時間(6セルバッテリ使用時) | |
OS | Windows Vista Home Premium |
Office | なし or Microsoft Office Personal 2007+PowerPoint 2007 |
その他の主なソフトウェア | HP QuickPlay 3.0、Symantec Norton Internet Security(60日間試用版)など |