「丸山珈琲 小淵沢店」店長の中原見英さん。1977年長野県生まれ。幼稚園で英語を教えていたが、思い立ってイタリアへ。語学学校に通いつつバールで働くうちに、コーヒー業界に興味を持つ。2007年5月、「丸山珈琲」入社

昨年10月、バリスタ日本一を決める大会「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ'08 - '09 兼 ワールド バリスタ チャンピオンシップ 2009 日本代表選考会」(以下、JBC)で準優勝に輝いた女性がいた。彼女はバリスタになってたったの1年半で、この成績を収めている。そんな快挙を成し遂げたのは、山梨・小淵沢にある「丸山珈琲 小淵沢店」で働く店長の中原見英さん。ここでは、中原さんから教えていただいたエスプレッソのアレンジレシピを紹介。カンタンなレシピながら、プロならではの工夫がなされた内容になっているので、ぜひつくってみてほしい。

「丸山珈琲」は、長野・軽井沢に本店を構えるコーヒー専門店。本店は、1991年に現オーナーの丸山健太郎さんが開業している。昨年11月には長野・小諸に3号店をオープンした。「丸山珈琲」の特徴は、なんといっても厳選されたコーヒー豆を使用する点にある。丸山さんはコーヒーのテイスターとして世界的に名の知れた人物。そんな丸山さんが仕入れた豆は自家焙煎され、抽出。多くの人々を楽しませているのだ。

リゾートホテル「リゾナーレ」(写真右)内に立地。ホテル宿泊者以外に観光客、地元の住民も訪れる

優秀なバリスタを育てる「丸山珈琲」

そして「丸山珈琲」といえば、近年JBCでの活躍が目覚しい。ファイナリストを複数名輩出しており、中原さんもその中の1人である。

中原さんが「丸山珈琲」に入社したのは2007年5月のこと。「優秀なバリスタに囲まれ、勉強、勉強の日々でした」と当時を振り返る彼女だが、翌年1月には先輩バリスタと共にJBC予選に出場。そして、本人も全く予想していなかった4位という優秀な成績を収めることとなる。その後、2回目の出場では前述の通り準優勝。このように経歴だけを見ていると、編集者としては「いま最も勢いがあるバリスタ」なんていうキャッチコピーをつけたくなるのだが、ご本人はなんとも可憐で、やわらかな雰囲気。そんな中原さんに考えてもらったドリンクも、爽やかで清々しい味わいのものだった。

「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ'08 - '09 兼 ワールド バリスタ チャンピオンシップ 2009 日本代表選考会」の様子。ほんわかとした雰囲気で会場を包み込みつつ、確かな技術も披露してくれた

メニュー名は「アッフォガート コンペペ」。"コンペペ"とはwith pepperの意味で、アイスクリームにエスプレッソをかけたアッフォガートというイタリアのスイーツに、胡椒やオレンジ果汁をプラスするといったオリジナルの工夫をプラスしたものだ。そして実はこのメニュー、中原さんが初出場で4位となったJBCで提供したシグネチャービバレッジ(各バリスタが自由に考案したエスプレッソベースのドリンク)をアレンジしたものである。

「アッフォガート コンペペ」

材料(1人分) バニラアイスクリーム カレースプーン2すくい分 / 胡椒 適量 / エスプレッソ 30ml / オレンジ果汁(100%のオレンジジュースでも代用可) 大さじ1杯

つくり方

1.グラスにバニラアイスクリームを盛る。
2.胡椒を振り掛ける(ここではブラックペッパーやピンクペッパーなどがミックスになったものをミルで挽いて使用)。
3.エスプレッソを抽出し、グラスへ静かに注いでいく。オレンジ果汁を別添えにして完成!

オレンジ果汁によって爽やかな酸味が、胡椒からは辛味ではなく清涼感が出てくる。エスプレッソは凝縮感のある飲み物なので、ガツンと力強い味わいのものを出す店もある(エスプレッソの味わいは、豆やバリスタの技術によって変化するので、味を定義するのは難しい)。だが、オレンジと胡椒が加わることで、口に含むとやわらかさも感じられ、後口はスッキリ。こんなにも印象が変わるのかと驚く。

アイスクリームが溶け切る前にいただけばスイーツ感覚、溶けてから飲めばドリンクに。加えるオレンジ果汁の量でも味が変わるので、様々な味わいを楽しめる内容になっている点も面白い。

それでは最後に中原さんオススメのコーヒー豆3種を紹介して、今回は終わりとしよう。「丸山珈琲」ではコーヒー豆の通信販売も行っているので、気になる豆があれば購入してみてはいかがだろうか(ただし、品切れの場合もあるのでご注意を)。

「丸山珈琲のブレンド」(525円 / 100g)
創業時からある定番の深煎りブレンド。深煎りながら重過ぎない味わい。ミルクとも好相性。


「ダイヤモンド・ダスト・ライト」(525円 / 100g)
やわらかな甘みと花に例えられるような香りが特徴的。ホンジュラス産をベースにしつつ、コスタリカ産を2種加えている。


「コスタリカ・カフェティン」(1,680円 / 200g)
中原さんがJBCでも使用した豆がこちら。青リンゴやチェリーのような風味が感じられ、非常に華やかな風味を持つ。焙煎度合いは中煎りだが、エスプレッソにも向く。


「丸山珈琲」では、エスプレッソとコーヒープレスで抽出したコーヒーを提供している。コーヒープレスを使う方法は、豆の味わいをストレートに出す抽出法。良質な豆を使っている店だからこそ、この抽出法を選べるのだ。写真は「ダイヤモンド・ダスト・ライト」(470円)。コーヒーカップ2杯分ほどの量なので、ゆったりと楽しめる

「リゾナーレ」の各部屋には、「丸山珈琲」のオリジナルブレンドとコーヒープレスが置かれており、宿泊客は無料で楽しむことができる