シアトル系カフェの雄「スターバックス コーヒー」が日本に上陸して10年以上が経つ。カフェ ラテやカフェ モカといったエスプレッソドリンクが驚くべき勢いで日本国内に普及し、それとともにコーヒー文化全体が成熟してきた感がある。近頃では家庭向けの抽出器具も充実してきている。そこでこの連載では、"カフェだけでなく、自宅でもおいしいコーヒーを"をテーマに、毎回異なる抽出器具を使ったコーヒーの淹れ方講座を展開する。
第1回目の抽出機器はコーヒープレス。見た目は紅茶のサーバーのようだが、この器具を使うと簡単に、そしてペーパードリップでは出すことのできない味を作り出すことができる。今回は「スターバックス コーヒー」のコーヒースペシャリストである田原象二郎さんに、コーヒープレスを使うコツを教えていただいた。
用意するものはコーヒープレスとコーヒー豆、水だけ。「ペーパーフィルターはいらないの?」という声が聞こえてきそうだが、プランジャー(プレスする部分)には金属フィルターが付いているため、ペーパーフィルターは不要だ。
「スターバックスコーヒー」でも販売しているコーヒープレス(960mlが3,150円、540mlが2,650円、360mlが1,780円)とハンディミルクフォーマー(1,500円)。ミルクフォーマーは次回登場する。 |
持ち上げている部分がコーヒープレスの「プランジャー」と呼ばれる部分。 |
コーヒー豆はもちろん挽いたものを用意するのだが、ここでポイント。コーヒープレスで抽出する場合、豆は荒めに挽いてもらおう。ペーパーフィルターの場合は細かく挽いた豆を使うが、その挽き具合のままだと嫌な苦味などが出てしまう。
次にその重要性を見落としがちな水。「コーヒーの成分の98%は水なんです」と田原さん。できればカルキ臭等がないミネラルウォーターを使いたい。「ミネラル分の多い硬水は苦味が出たりトゲトゲしい味になってしまうので、軟水を使ってください」とのことだ。さらには熱した際の温度にも注意したい。適温は90℃~96℃。この温度帯で抽出することによって、豆の味わいを最大限に引き出すことができる。
手順はごくごくシンプル
ここからは具体的な手順に入ろう。
材料(5杯分):コーヒー豆(荒く挽いたもの)50g / 熱湯900ml / 熱湯(コーヒープレスとマグカップを温めるために使用)適量
作り方
1.コーヒープレスとマグカップに湯を注ぎ、温める。プランジャー部分もセットしておくことで、一緒に温めることができる。2.コーヒープレスが温まったら湯を捨て、コーヒー粉を入れ、熱湯を注ぐ。粉全体に湯がいきわたるように注いでいくのがポイント。
3.スプーンで軽く混ぜる。湯と粉がまんべんなく混ざるようにする。
4.プランジャーで蓋をし、4分間置く。
5.4分経ったらプランジャーを下ろす。上澄みを少量捨ててからマグカップに注ぐ。
6.完成したコーヒー
大切なのは"豆と湯がきっちりと接する"という点。まんべんなく湯を注いだり、スプーンで混ぜるのはそのためである。そうすることで、コーヒーの旨みをしっかりと抽出することができる。また、手順5で上澄みを捨てるのは表面に浮かんでいる粉を取り除く意味合いがある。
次回は田原さんおすすめのコーヒー豆と、コーヒープレスで抽出したコーヒーのアレンジ法を紹介する。
写真:中村浩二