きのこは1年中手に入る食材なので、あまり「旬」という概念がないかもしれません。でも、人工栽培でなく自生するきのこの多くは、秋に旬を迎えます。きのこにも様々な種類がありますが、どれも健康効果が高く、腸内環境を整える効果を持ちます。また、ストレスの多い現代人には積極的に食べてほしい食材です。
知っておきたい舞茸の栄養パワー
きのこ類は、食物繊維やビタミンDなどの栄養素が豊富なだけでなく、旨味も強く、カロリーも低いため、バランスのいいメニューづくりには欠かせない食材です。しいたけ、しめじ、えのき、マッシュルームといったたくさんあるきのこのなかでも、特にビタミンDやβグルカンという食物繊維が豊富で、より高い免疫力アップ効果を持つのが舞茸です。
βグルカンとは水溶性食物繊維のひとつです。βグルカンは腸内での発酵性が高いので、腸内環境改善の効果が高く、積極的に摂取することで頑固な便秘が解消したという声も珍しくありません。
しかし、水溶性食物繊維が豊富に含まれている食材は限られるため、普段から意識して食べないと摂取しにくい食物繊維です。おもに、ネバネバした食品ーーー例えば、山芋、オクラ、もずくなどに多く含まれますが、その他にも、もち麦、舞茸などにも豊富なので覚えておきましょう。
また、舞茸に特徴的な成分としてMDフラクションがあります。MDフラクションは、体を外敵から守っている免疫細胞(白血球)を活性化する働きを持っています。この作用により、強力な抗ガン作用やインフルエンザの感染を抑制することも分かっており、近年ではサプリメントなどにも利用されています。
このように、舞茸は腸内環境改善、免疫力アップに一役買ってくれる優秀な食材です。スーパーに行けばいつでも手に入り、値段もお手頃。冷凍保存もできますから常備しておきましょう。
そこで今回は、複数のきのこを使ったマリネのレシピを紹介します。マリネに使用する酢には、グルコン酸という成分が含まれおり、善玉菌を増やす効果があります。また、オリーブ油に含まれるオレイン酸は、腸の蠕動運動を刺激して便通をよくする効果がありますので、腸内環境をよくしたい人にはぜひつくってほしいレシピです。
作り置きにしておいて、いつものサラダにプラスするもいいですし、オムレツやハンバーグなどの主菜の付け合わせにも便利です。
【レシピ】チキンときのこのマスタードマリネ
材料(ひとり分)
・好みのきのこ 300g
(今回は、舞茸、しめじ、エリンギ、えのき茸を使用)
・鶏ささみ 2本(約100g)
・塩 小さじ1
・酒 大さじ1
・オリーブ油 大さじ2
【マリネ液】
・酢 大さじ2
・粒マスタード 小さじ2
・塩 小さじ1/3
・こしょう 適量
・パセリ 適量
つくり方
(1)すべての材料を計量して、用意する。
(2)ささみを茹でる。鍋にささみがかぶる位のお湯を入れ沸騰させ、塩小さじ1と、酒大さじ1を入れ、ささみを入れる。再沸騰したら火を止めてそのまま10分おき、予熱でゆっくりと火を通す(この際、冷蔵庫などから取り出したささみを常温に戻してから茹でると、加熱による縮みが少なくなり、さらに柔らかくふんわりと仕上がる)。
(3)10分後になかまで火が通ったことを確認したら、取り出して粗熱をとって冷ます。冷めたら、筋をとり、そのあとで身をほぐす。
(4)きのこは石づき(軸の硬い部分)をとり、薄くスライスしておく。
(5)フライパンにオリーブ油を入れてきのこを炒め、しんなりしたら取り出して粗熱をとる。
(6)マリネ液をボールにつくり、ほぐしたささみと炒めたきのこを入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やす。盛り付けてパセリを散らしたら完成。冷蔵庫で2~3日間、保存可能。
つくり方のポイント
きのこ類に含まれるミネラルや旨味成分を十分に摂取するためには、一度、冷凍してから使うのがおすすめです。そのうえ、冷凍したものは凍ったまま使います。解凍することで細胞壁が壊れやすくなり、細胞のなかのミネラルや旨味成分がより遊離されやすくなるからです。それだけでなく、解凍したときに出る汁にも栄養素が含まれるので、凍ったまま調理することで、それらの栄養素を逃がさずに摂取することができるのです。
舞茸を選ぶポイントは、カサの部分の色は濃い黒で、肉厚でパリッとしていてハリのあるもの。そして、根本のスポンジ状の軸の部分は、色が白くて弾力があるものを意識してください。古い舞茸は全体がしんなりとしていて、水分が表面ににじんでいます。スーパーなどで選ぶ際の参考にしましょう。