「子育てにお金ってどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。
前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。
「運用して増やす」という方法も選択肢に入れてみる
教育資金を貯めるというと、安定性を重視して定期預金等の積み立て(第83回コラム参照)を選ぶのがよいのではないかと考える方が多いかもしれません。
FPとして、個人のお客様と教育資金についてお話してみると、「運用しながら教育資金をコツコツと増やしています」とおっしゃる方々もいます。
今回は、「教育資金」を運用して増やす方法の1つ、「個人向け国債」についてお伝えします。
個人向け国債
まず、「債券とはなにか? 」からご説明します。
債券とは、国や企業などが投資家からお金を借りる際に発行する借用証書のようなものです。国が発行する場合は「国債」、一般の会社が発行する場合は「社債」といいます。
国債を購入するということは、国に一定期間お金を貸すことになるのです。国にお金を貸している間は、定期的に利子を受けることができます。そして満期になると元本(貸したお金)が返済されます。
その中で、「個人向け国債」とは、購入者が個人に限られている国債です。銀行や証券会社などの金融機関で購入することができます。
個人向け国債の商品概要
個人向け国債には、3つのタイプの商品があります。「変動金利」(半年ごとに適用する利率が変わる)の商品は満期まで10年の商品のみで、「固定金利」(発行時に設定された利率が満期まで変わらない)の商品は、満期まで5年と満期まで3年の商品があります。
※「変動10」の基準金利は、利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札利回りである。
※「固定5」と「固定3」の基準金利は、募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年または3年の固定利付国債の想定利回りである。
変動10のメリット
変動金利なので、仮に5年後の実勢金利の水準が現在よりも上昇した場合、受け取れる利子が増えることになります。なお、仮に実勢金利が下降した場合、最低でも0.05%(年率)の金利は保証されます。
固定5年・固定3年のメリット
固定金利なので、購入した時点で5年後あるいは3年後の最終的な投資結果がわかり、経済環境の変化に影響されないので、計画的な資産運用ができます。
教育資金を準備する方法として個人向け国債を選ぶメリット
【安全性】
日本という国がつぶれない限り、満期になると投資した金額が減ることなく戻ってきます。この点で預貯金と同等の安全性があるといってよいでしょう。
【必要な時に中途換金ができる】
原則として、発行後1年経過すればいつでも中途換金は可能です。したがって、至急学校等への納付金が必要になった場合など柔軟に換金することができます。また特例として、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害により被害を受けた場合、または購入した人(保有者)が死亡した場合は1年の経過を待たずとも中途換金が可能となっています。
【金利】
現時点(2021年9月27日時点)で大手銀行の定期預金の店頭表示金利を調べたところ、預入期間に関わらず「0.002%(年率)」と設定しているところが多かったです。個人向け国債の場合、最低でも「0.05%(年率)」保証されているので、金利面でも個人向け国債のメリットを感じられると思います。ご自身が利用されている銀行の定期預金等の金利と個人向け国債の金利を比較してみるとよいのではないでしょうか。
個人向け国債については、財務省のホームぺージにて「教えて!コクサイ先生」という名前で個人向け国債についてわかりやすく解説しています。ご参考になさってください。
参照 : 教えて!コクサイ先生