「子育てにお金ってどれくらいかかるの?」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの?」「教育資金づくりってどんなふうにするの?」「教育費が足りない場合どうしたらいいの?」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。

前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。

海外留学にも利用できる

国内の学校だけでなく、海外留学を希望する人も日本学生支援機構の奨学金を利用することができます。海外留学の奨学金には【給付型】と【貸与型】の2種類があります。

【給付型】では「海外留学支援制度」という制度においての奨学金であり、【貸与型】では、「海外留学支援制度」を利用しない場合でも借り入れ可能です。

【給付型】海外留学支援制度

日本の大学等が、在籍している学生を海外の高等教育機関等との学生交流に関する協定等に基づいて、海外の大学等に8日以上1年以内の期間派遣するプログラムを実施する場合、一定の要件を満たす学生に奨学金を支援する制度です。

【1】海外留学支援制度(協定派遣)

支援内容:奨学金は月額6万円~10万円(地域により金額が異なる)
渡航支援金:32万円(一定の家計基準を満たす人に限る)

【2】海外留学支援制度(学部学位取得型)

対象者:応募時に日本に在住し、高校等卒業後、海外にある大学で「学士号」を取得する課程に直接進学する人(語学・学歴・学業成績・所得要件等あり)
支援内容:奨学金は月額5万9,000円~11万8,000円
授業料は年度250万円を上限とする実費額(250万円一律支給ではない)
支援期間:原則4年

【3】海外留学支援制度(大学院学位取得型)

対象者:修士または博士の学位取得を目的として海外の大学院へ留学する人
学士以上の学位を取得した人または取得見込みの人(語学・学業成績・年齢制限等あり)
支援内容:奨学金は月額8万9,000円~14万8,000円
授業料は年度250万円を上限とする実費額(250万円一律支給ではない)
支援期間:「修士」の学位取得コースの場合……2年
「博士」の学位取得コースの場合……原則3年

【貸与型】第一種奨学金/第二種奨学金

【1】第一種奨学金(海外協定派遣対象)

対象者:海外留学支援制度(協定派遣)《給付型【1】参照》に採用された人で、海外留学支援制度の奨学金の給付を受けてもなお、経済的支援を必要とする
人貸与金額:10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の選択制

選考基準は、国内の第一種奨学金(在学採用)と同じで、貸与月額は、国内奨学金の第一種奨学金と同額です。

また、「留学時特別増額貸与奨学金」として、希望により基本月額に増額して貸与を申し込むことができます(初回振込時1回のみ)。

【2】第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)

対象者:海外留学支援制度(大学院学位取得型)《【給付型】【3】参照》に採用された人で、海外留学支援制度の奨学金の給付を受けてもなお、経済的支援を必要とする人
■貸与月額(2021年度の入学者の場合)
修士課程相当:5万円または8万8,000円
博士課程相当:8万円または12万2,000円
貸与金額:10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の選択制

選考基準において、人物・学力の基準は、海外留学支援制度(大学院学位取得型)の支給要件を満たしていることが必要であり、家計基準については、本人および配偶者の収入要件(収入基準額以下)を満たす必要があります。

また、「入学時特別増額貸与奨学金」として入学時において、希望による入学月の基本月額に増額して貸与を申し込むことができます。

【3】第二種奨学金(海外)

対象者:学位(学士号、修士号、博士号)取得を目的に、海外の大学・大学院へ進学を希望する人、または海外の大学・大学院に在学中の人
貸与月額:国内奨学金の第二種奨学金と同額
例)
大学 :月額2万円~12万円(1万円刻み)のいずれかを選択
大学院:月額5万円・8万円・10万円・13万円・15万円のいずれかを選択

【4】第二種奨学金(短期留学)

対象者:国内の学校に在学中に、海外の大学・大学院へ3カ月以上1年以内の短期留学を希望する人
貸与月額:国内奨学金の第二種奨学金と同額(【3】第二種奨学金(海外)の貸与月額を参照)

現在は、新型コロナウイルスの影響で海外への渡航が制限されていますが、「海外留学」の興味がある学生等は多いでしょう。現在では、一部オンラインを活用している学校もあるようです。海外留学の資金準備が困難な場合等は、上記のような海外留学のための奨学金を活用して、海外での学びを体験する機会を実現してみてはいかがでしょうか。

次回は、奨学金の返還(=返済すること)についてお伝えしたいと思います。