「子育てにお金ってどれくらいかかるの?」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの?」「教育資金づくりってどんなふうにするの?」「教育費が足りない場合どうしたらいいの?」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。

前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。

日本学生支援機構の奨学金

教育資金が不足してしまった場合のひとつの手段として、前回のコラム(第85回)では、「国の教育ローン(教育一般貸付)」をお伝えしました。「国の教育ローン(教育一般貸付)」の申込人は入学・在学する人の保護者であるのに対し、奨学金の申込人は、学生本人となります。今回は、奨学金の中でも最も代表的な「日本学生支援機構の奨学金」についてお伝えします。「奨学金=借金」というイメージをもつ人も多いようですが、日本学生支援機構の奨学金では、借りる奨学金【貸与型】だけでなく、もらえる奨学金【給付型】もあります。2つの奨学金を下表にまとめてみました。

図表 : 【貸与型】【給付型】2つの奨学金について

【貸与型】と【給与型】の奨学金の詳細は下記のとおりです。

【貸与型】奨学金

貸与型の奨学金には、第一種奨学金と第二種奨学金があります。第一種は無利子で借りることができ、第二種は利子(年利3%上限)がつきます。第一種は無利子なので、第二種に比べて選考基準が厳しいことが特徴です。

【給付型】奨学金

経済的理由で大学・専門学校等への進学をあきらめないよう成績だけで判断せず、世帯収入の基準を満たしていれば、奨学金の支援を受けられます。また、給付型奨学金の対象となった場合、授業料や入学金も免除または減額されます。

給付型奨学金の選考基準には、学業成績等に係る「学力基準」と「家計基準(収入基準・資産基準)」、両方を満たす必要があります。

例えば、対象者が高校生等の場合は下記のような基準となります。

「学力基準」

【1】高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
(専修学校の高等課程の生徒等は、これに準ずる学修成績であること)
【2】将来、社会で自立し、および活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること
(学修意欲等の確認は、高等学校等において面談の実施またはレポートの提出等により行う)

上記の【1】もしくは【2】のいずれかに該当する必要があります。高等学校等の成績が3.5に届かなかった場合でも、学生本人に学修意欲があり、その熱意を具体的に伝えることができれば、給付型奨学金を受け取ることができるかもしれません。

参照 : 進学資金シミュレーター

「家計基準(収入基準)」

住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯。給付対象となる世帯年収の上限額は、家族構成や世帯主の収入状況などで異なる

「家計基準(資産基準)」

学生本人と2人の生計維持者
(例:父母)の資産額の合計が2,000万円未満
(生計維持者が1人のときは1,250万円未満)であること

「家計基準」においては、上記の収入基準と資産基準のいずれにも該当する必要があります。

なお、日本学生支援機構のホームページにある「進学資金シミュレーター」では、給付型奨学金の対象になりそうかどうかを大まかに調べることができます。また、進学のための資金計画を立てる際のシミュレーションをすることもできますので、活用してみてもよいのではないでしょうか。

参照 : 進学資金シミュレーター

次回は、日本学生支援機構の奨学金の「海外留学のための奨学金」や「返還(=返済すること)が難しいときに利用できる制度」などについてお伝えいたします。