「子育てにお金ってどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。
前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。
前回のコラム(第80回)では、4年制大学に進学した場合の費用についてお伝えしました。学校教育は、「小学校→中学校→高校→大学」という道だけではありません。下図のように、義務教育である中学校を卒業した後、さまざまな選択肢があります。
参照 : 文部科学省「高専と高校・大学との制度上の関係」
そこで今回は、私立大学短期大学(私立大学短期大学部も含む)と高等専門学校の費用についてお伝えいたします。
私立短期大学・私立大学短期大学部
一般の大学とは異なり、私立短期大学や私立大学短期大学部は2年間です。
「短期大学」の位置づけは、学校教育法によると大学の制度の枠内に置かれたものと位置づけられており、学校種としては大学の一類型とされています。4年制の大学とは目的および修業年限が異なることから、「短期大学」という名称を使っているようです。
私立短期大学・私立大学短期大学部の場合の初年度学生納付金について《表1》を見てみましょう。
《表1:2019年度・私立短期大学・私立大学短期大学部の初年度学生納付金》
前々回のコラム(第79回)で解説しましたが、4年制大学の授業料は約90万円。ですので、短期大学の授業料は4年制大学の授業料と比べて約20万円少ないことがわかります。
4年制大学と比べて学校に通う期間が半分だからといって、授業料も半分というわけではありません。また、入学料や施設設備費、実験実習料等は、4年制大学とほぼ変わりません。
高等専門学校
次に高等専門学校について見てみましょう。
高等専門学校とは、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関です。高専と略して呼ばれることもあり、中学校を卒業した人が入学する学校です。高校を卒業して専門技術を学ぶ専門学校とは異なります。
《表2:2019年度・私立高等専門学校の初年度学生納付金》
技術者を養成する学校ですので、「【5】実験実習料等」は、4年制大学や短期大学の2倍以上の費用がかかります。ただし、「【6】総額」は4年制大学よりも低い金額となります。
終わりに
今回は、2年制である私立短期大学・私立大学短期大学部、また、5年制の高等専門学校の費用についてお伝えしました。一般的には、子どもの教育について、4年制大学の卒業を「ゴール」と位置づけている親が多いですが、実際には、上の図にあるように、いろいろな「進路」があります。
教育課程の早い段階で「技術者」として働くことを意識し、専門的な技術をできるだけ早く学びたいと思っているお子さんがいらっしゃる方は、大学だけでなく、高等専門学校という選択肢もお子さんに提示しながら、親子一緒に進路を考えてみてはいかがでしょうか。