「子育てにお金ってだいたいどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。

前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」や「教育費の目安」、「教育資金づくりの方法」、「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度からファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。

子育てに係わる費用には、教育費以外にも、医療費などがあります。

健康保険(会社員等が加入)、または国民健康保険(自営業者等が加入)上は、小学校入学後から70歳未満の人において、医療費の自己負担割合は「3割」であるということは、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

念のためにご説明すると、私たちが医療機関や薬局などで支払っている医療費の額は、医療や薬品の100%の額ではありません。国民が負担する医療費の負担額は一部(表1参照)なのです。しかし、お住まいの地域によっては、子どもの医療費の自己負担は「なし」としている地域があります。

子育てにはかかせない医療費は、本当に無料なのでしょうか? 今回は、子どもの医療費に関してお伝えします。

医療費の自己負担割合

まずは、健康保険または国民健康保険においての医療費の自己負担割合を見てみましょう。

《表1 : 医療費の自己負担割合》

子どもの医療費の自己負担割合は、小学校入学前までは、「2割」、小学校入学後は「3割」となっています。しかし、「子どもの医療費がかからない」地域があります。これは、医療費自体が無料なのではなく、窓口で支払う医療費の一部(表1の自己負担分)を地方自治体が助成しているのです。つまり、各地域の行政サービスにより、子どもの医療費を無料としているのです。子どもの医療費の助成内容は、各地方自治体によってさまざまです。一部ですが、下表にまとめました。

《表2 : 地域ごとの医療費助成制度》

表2を見ると、助成対象者の上限年齢は、各地方自治体によって異なることがわかります。比較的、他の地方自治体よりも財政的に安定していると言われている東京都内においても、市区町村によって、助成内容が異なります。

「助成対象者の上限年齢が高い=他の地域よりも行政サービスが良い」とは限りません。高齢者への行政サービス(介護など)が手厚い地域、病気予防のための行政サービスが手厚い地域、出産を控えた妊婦への行政サービスが手厚い地域と、それぞれ独自の行政サービスがあります。

子育てのなかで医療費負担が必要ない期間があることはありがたいですね。医療費の負担がない期間に、「子どもの医療費を払ったつもり」で教育費の貯蓄にまわすと、将来的に家計を圧迫せずに、子どもの希望進学に沿った教育プランを立てることができるでしょう。