「子育てにお金ってだいたいどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。

今回からは、複数回に分けて「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。

子どもの「教育費」の目安

お子さんを持つご家庭から家計についてご相談を受けるときがあります。ご相談の内容は、ほとんどの場合が「教育費」についてです。

「高額な教育費を支払いながら生活していけるでしょうか? 」「子どもが大学まで私立に通った場合、私たち夫婦の老後資金はあるのでしょうか? 」「3人目の子どもまで大学に行かせてあげたいのですが、現在の貯蓄で大丈夫でしょうか? 」

など、「教育費」にかかるお金に対する不安をお持ちの方が多いことを実感しています。お子さんを持つご家庭は、「この先、どれくらい教育費がかかるのかがわからない」ので、不安を募らせていらっしゃる方が多いようです。

そこで今回は、ざっくりと「教育費の目安」をお伝えしたいと思います。

学校種別・学年(年齢)別の学習費総額(表A参照)

下表では、学習費の総額を公立学校・私立学校で分け、さらに学年(年齢)別に分けています。

学年(年齢)が上がれば上がるほど学習費総額が増加するというわけではありません。最も多いのは、私立小学校1年生の約189万2,000円です(太字)。なお、公立のうちで最も多いのは、中学校3年生の約56万9,000円です(太字)。

表A 学年(年齢)別の学習費総額

  • ※「平成30年度子供の学習費調査-調査結果の概要-表2」(文部科学省)をもとに、執筆者作成

    ※「平成30年度子供の学習費調査-調査結果の概要-表2」(文部科学省)をもとに、執筆者作成

例えば、中学校から私立学校へ入学する場合、幼稚園と小学校の学習費においては、多くても年間30万円台だったのが、私立中学校に入学した年から毎年100万円以上の学習費の支払いが必要となります。したがって、私立中学校の受験を検討されるのであれば、子どもが小学生低学年時には「私立中学校入学」のための貯蓄を具体的に検討すべきでしょう。

幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(表B参照)

次に、幼稚園3歳から高等学校(全日制)3年生までの15年間について、各学年の学習費総額(表A参照)をケース別に計算していきましょう。

表B 幼稚園3歳から高等学校3年生までの15年間の学習費総額

  • ※「平成30年度子供の学習費調査-調査結果の概要-表9」(文部科学省)をもとに、執筆者作成

    ※「平成30年度子供の学習費調査-調査結果の概要-表9」(文部科学省)をもとに、執筆者作成

ケース【1】幼稚園・小学校・中学校・高等学校すべてが公立の場合

→ 約541万円

ケース【2】幼稚園だけ私立・小学校以降はすべて公立の場合

→ 約634万6,000円

ケース【3】高等学校だけ私立の場合

→ 約694万2,000円

ケース【4】幼稚園および高等学校が私立の場合

→ 約787万8,000円

ケース【5】小学校だけ公立の場合

→ 約1,063万3,000円

ケース【6】幼稚園・小学校・中学校・高等学校すべて私立の場合

→ 約1,829万8,000円

となっています。

また、ケース【1】(すべて公立)とケース【6】(すべて私立)を比べていると、約1,288万8,000円(約3.4倍)の差があります。

教育費に関する2つの表をご紹介しました。学習費における学年(年齢)による差や、公立学校と私立学校の差など、数値としてみると、大きな開きがあることを実感されると思います。このようなデータをもとに、「では、我が家では、教育費はいくら準備しておけばいいのか」ご家庭で話し合ってみてはいかがでしょうか。