「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。
都道府県別・タクシー代ランキング
師走が近づくと、年末年始の帰郷や旅行でたくさんの荷物があるとき、取引先や同僚との忘年会の会場から自宅へ帰るときなど、タクシーを利用する機会が、通常より増える方も多いのではないでしょうか。
東京在住時は、繁華街が近く、多くの人々が行き交う地域に住んでいたので、駅前や商業施設近辺には、たくさんのタクシーが待機していたことを覚えています。現在住んでいる地域では、最寄り駅にタクシーが待機していることは少なく、街中で手をあげてタクシーを拾うことは難しいと感じています。今回は地域市民の足の1つでもあるタクシーについて調べてみました。
表1の都道府県庁所在市及び政令指定都市タクシー代ランキングでは、1位に東京都区部1万1,870円、2位に長崎市1万1,088円、3位に札幌市1万333円、4位に広島市1万323円と続いています。全国平均が5,102円ですから、1位から4位までの都市では全国平均の約2倍のタクシー代を支払っていることになります。
1位の東京都区部は、圧倒的な人口の多さから納得される方も多いと思います。そして、2位の長崎市は、坂や階段の多い街並みであることも関連しているようです。
東京のタクシー初乗り運賃が410円に引き下げ
平成29年1月30日より東京のタクシー初乗り運賃が380円~410円に引き下げられました。
国土交通省としては、初乗り運賃を引き下げることにより、タクシー事業者にとって、短距離利用者からの運賃収入について一定の減収が見込まれることから、その減収を、中長距離利用者の運賃の引き上げによってカバーし、全体として運賃収入が変わらないよう運賃を組み替えたとのことです。
表2の東京のタクシー運賃(普通車)新旧比較表の初乗り運賃の金額だけを見ると、一見大幅に運賃値下げを行ったように見えますが、初乗り運賃で乗ることができる距離が短くなったことに注意が必要です。約2㎞までの運賃は、旧運賃より新運賃の方が安くなります。約2㎞から約6.5㎞までの運賃は、安くなる場合と高くなる場合があります。約6.5㎞以上の運賃は新運賃の方が高くなります。
下記の表3は、東京のタクシー運賃(普通車)の比較例です。
終わりに
今回は、タクシーを取り上げました。東京在住の頃、仕事や外食で深夜帰宅になってしまったときなど、初乗り運賃が410円に引き下げられたことにより、タクシーを利用する機会が増えました。少しの距離でもタクシーを使いたいと思っている方は東京都以外でも多くいらっしゃると思います。
目的地までの時間を少しでも短縮したい場合、体調不良などで病院まで歩いていくことが困難な場合、旅行先の宿泊宿から街中に外出したい場合など、初乗り運賃がワンコイン(500円)以下ならば、財布の中身を気にせずに、タクシーを利用しようと思う方は多いのではないでしょうか。東京のみならず、地方においても初乗り運賃410円の導入が実現されることを願っています。
執筆者プロフィール : 高鷲佐織(たかわしさおり)
ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。
資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。