「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながらお伝えいたします。
「家賃支援給付金」とは?
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための緊急事態宣言は、解除されました。しかし、対面接客を行うことは難しくなり、従業員が毎日出社することも見直され、事業者は事業を継続するために知恵を絞り様々な対策を行っています。
行政機関も、事業継続をサポートするために、事業者に対して給付金を行ってきました(第62回コラム「都道府県からの給付金」をご参照ください)。そして新たに、新型コロナウイルスの影響で売上が減少している事業者に対して、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金が支給されることになりました。これが「家賃支援給付金」です。
法人には最大で600万円、個人事業主には最大300万円が一括で支給されます。この金額は「最大」であり、申請した全ての法人が600万円、全ての個人事業主が300万円支給されるわけではないのでご注意ください。では、支給対象となるのはどのような事業者か、給付される金額はどのように計算するのか、申請する際に注意すべきことはどのようなことがあるかお伝えしていきます。
●支援対象(下記A・B・Cのすべてを満たすこと)
A : 資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者(医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人などの会社以外の法人も対象)
B : 2020年5月~12月の売上高について、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、1カ月で2019年の同じ月と比べて50%以上減少している、または連続する3カ月の合計で2019年の同期と比べて30%以上減少している
C : 自らの事業のために使っている土地・建物の賃料を支払っている
●給付額の計算方法
(給付額の計算例)
法人としての申請日が8月15日で、8月分の賃料が支払済である場合は、直近に支払った賃料8月分で計算をします。
【1】支払い賃料が月額24万円であるとき(支払賃料が75万円以下)
24万円×2/3×6=96万円→給付額は96万円 となります。
【2】支払い賃料が月額90万円であるとき(支払賃料が75万円を超える)
{50万円+(15万円×1/3)}×6=330万円→給付額は330万円 となります。
賃料90万円が75万円を超えるため、「支払賃料の75万円の超過分」である15万円に3分の1を乗じます。
●注意点
・申請の受付は、7月14日から1月15日まで、電子申請は1月15日の24時までとなります。
・自分で保有している土地や建物について、住宅ローンを支払っている場合は、賃料の支払いではないため、給付の対象となりません。
・個人事業者が自宅を事務所として仕事をしている場合の家賃は、給付対象になりますが、確定申告書における損金計上額など、事業に使用している部分に限ります。
・賃料のほかにも、一定の要件を満たしている管理費や共益費は給付の対象になりますが、電気代、水道代、ガス代、更新料、礼金、敷金・保証金、保険料等は対象外となります。
※上記の「家賃支援給付金」の情報は、「家賃支援給付金に関するお知らせ」(経済産業省)をもとに執筆者が加工・作成したものです。
終わりに
「家賃支援給付金」が「持続化給付金」のように事業収入によって計算されるわけではなく、「特別定額給付金」のように一律した金額ではなく、支払っている地代・家賃(賃料)を基に給付金が計算されるので、地代・家賃(賃料)が高い東京などの地域で事業をされている事業者の方々にとっては、事業を継続させるためのサポートになるのではないでしょうか。
なお、上記の情報は、2020年7月7日時点の情報となります。申請される際には、経済産業省のホームページに記載されている「家賃支援給付金に関するお知らせ」等をご確認ください。