「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。

引っ越しと美容院探し

東京在住の頃は、商業施設が多く建ち並ぶ街に住んでいたこともあって、街のいたるところに美容院がありました。価格設定も各美容院によって違いがあります。

以前、価格の安さに飛びついて、ある美容院でヘアカットとカラーリングをしてもらったのですが、イメージしていたヘアスタイルとはほど遠く、カラーリングをしたその当日の夜には、枕にカラーリング剤がついてしまうような、質の低い美容院にあたってしまったこともありました。価格には、そこで働く美容師さん達の「スキル」の違いが反映されていると実感したのは、30代に入ってからでした。

東京で暮らしていた時も、すぐに信頼できる美容院を見つけられたわけではなく、何度も「新規客」として、複数の美容院に足を運び、ヘアカットが上手な美容師さんを探し、その美容院内の空間が清潔で居心地がよく、また来たいと思える美容院を見つけるまで、一苦労しました。

地方に引っ越すことが決まったとき、「また1から信頼できる美容院を見つけないといけないのか」と少し気が重くなったことを覚えています。引っ越しを経験された方は、この気持ちを理解していただけるのではないでしょうか?

そこで、今回は、美容院についてお伝えしようと思います。

年々、理容院は減少し、美容院は増加している

東京でも、現在住んでいる地域でも、街中を歩いていると美容院はよく目にしますが、理容院の数は少ないと感じます。実際に厚生労働省の統計(平成29年度衛生行政報告例の概況)によると、年々美容院は増加し、理容院は減少しているようです。

2013(平成25)年度から2017年(平成29)年度の5年間の間でも、美容院の店舗数は、1度も減少することなく、右上がりに増加しています。一方で、理容院の店舗数は、年々減少しています。2017(平成29)年度にいたっては、美容院の店舗数が、理容院の店舗数の2倍以上になっています。

美容院は、ヘアカットやヘアカラーだけでなく、ヘッドマッサージ、着物の着付け、結婚式などの出席のためのヘアセットやメイクアップなど、髪に関すること以外にもいろいろなサービスを提供している店舗が増えたので、利用者数が増加しているのかもしれません。また、最近では、ネイルサロンと美容院が併設されていたり、男性限定の美容院ができたりと、特徴のある店舗もあります。

理容院は、男性のみをターゲットにしているイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

最近では、女性のためにもシェービングサービスを行っている理容院があります。私自身、理容師さんにシェービングをしてもらった経験がありますが、肌がツルツルになり、気持ちもリフレッシュできるので、女性にもシェービングはお勧めです。

  • (表・図)美容院・理容院の施設数の年次推移(各年度末現在)単位:施設
    ※出典「平成29年度衛生行政報告例の概況」(厚生労働省)を加工して作成

終わりに

今回は、美容院について調べてみました。

個人的な感想ですが、東京と地方の美容院を複数店舗利用した結果、東京でも地方でもカットやパーマ、カラーリングの料金はさほど変わりないと感じました。東京の青山や銀座にある高級美容院と言われるような高額の価格設定の美容院は地方でも存在します。

「東京に比べれば、地方の価格はすべて安い」と思い込んでいる方も多いでしょう。質の高いサービスやスキルを提供している店舗は、その場所に関係なく、それ相応の価格であることは理解しておくべきでしょう。

高鷲佐織(たかわしさおり)

ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。

資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。