「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。
深夜の食事
仕事などでエネルギーを消耗した日は、自炊する気力がないので外食をするようにしています。外食の時間が夜10時以降になってしまうときもあります。定食のような一般的な食事をしたいのですが、近所の食事処は、夜8時頃に閉店になる店が多く、お酒を飲むことがメインの居酒屋などしか営業していません。夜遅くなっても、お酒を抜きにした食事をしたいと思うことは多々あるのですが、東京在住の頃も、地方に住んでいる今も、なかなか「定食を深夜も提供してくれるお店」を見つけられません。
疲労が溜まり炊事をする気力がなくなったという理由で外食を選択するということではなく、4月は、年度初めで新しい環境になり、新しく出会った方々と一緒に外食をする、また花見をしながら外食をするといった、外食を楽しむ機会も多い時期だと思います。
そこで、今回は外食についてお伝えしたいと思います。
世帯人数別・年齢別・性別での外食利用頻度
「外食をする」ことの頻度について、世帯人数別、年齢別、性別で見てみましょう。
世帯人数別ですと、「ほとんどそうしている」と回答した人が最も多かったが1人暮らしの人で、4.5%です。世帯の人数が増えれば増えるほど外食の回数が減るのかというと、そういう訳ではないようです。「ほとんどそうしている」と回答した人が2番目に多かったのは、5人で暮らす世帯で、1.2%です(黄色で表示)。
私も1人暮らしの経験がありますが、1人分の野菜・肉・果物などの食材をスーパーなどで購入すると材料費は割高になり、外食した方が食費を抑えることができる場合も多かったです。現在は、野菜を1個から販売したり、1人分の総菜パックで販売したりするスーパーなどもありますが、やはり複数人数用として袋詰めされた食材よりは割高に感じます。
私のように、「1人分を作るより、外食した方が安上がり」と感じて、外食の頻度が高い1人暮らしの方は多いのではないでしょうか。また、「ほとんどそうしている」と回答した人が2番目に多かった5人で暮らす世帯は、人数が多いので、毎日の炊事は大変な作業だと思います。経済的な理由よりも、炊事作業の大変な労力を考えて、外食を選択する家族が一定数いるのかもしれません。また、複数人数で同居している世帯でも個々のライフスタイルを重視して、各自がそれぞれのタイミングで食事をするという家庭も多いのではないでしょうか。
次に年齢別ですと、「たまにそうしている」と回答した人が多いのは、働き盛りと言われている年代で20代~40代の人です。20代で53.0%、30代で48.8%、40代で45.1%(黄色で表示)で、平均値35.1%を上回っています。仕事の関係上どうしても、自宅で食事をとることが難しい方も多いと思います。仕方なく外食にせざるを得ない方は、外食メニューも偏りがちですので、バランスの良い食事を心がけると良いですね。
最後に性別で見てみると、回答結果の数値にほとんど差がないことがわかります。高度成長期を支えた世代は、男性が外で働き、女性が家事をして家族をサポートするといった形の家庭が多かったと思います。このような家庭の場合、男性は仕事上外食をする回数が多かったとしても、女性は家族以外の人と外食をする機会は多くはなかったでしょう。
現在では、男女関係なく、同じ職種の仕事をし、食事する時間や内容もさほど違いはなく、また、家事を分担する家庭も増えてきています。外食をする回数も、性別での差はなくなってきているのでしょう。
私が20代だった頃は「女性が1人で外食をする」と行為は寂しいだとか、可哀そうだとか、そのような言葉を言う人もいましたが、現在は、街中の飲食店見ると、女性が1人で読書などしながら外食をする姿も頻繁に見かけます。
終わりに
今回は、外食について調べてみました。表1の中で1つ気になったのは、「たまにそうしている」と回答した20代~40代の人が、かなり多いことです。この「たまに」という言葉がポイントです。「たまに」しか行かないのだから贅沢に外食しようと、外食費が膨らまないようにお気をつけください。
家庭の支出が膨らんで、教育費や住宅費の捻出が困難になっている方は、改めて外食費を年間でどれくらい使っているのか、確認してみてください。また、食費の中に外食費を含めて家計簿として管理している方は、別々の項目で管理しましょう。
外食は、心と体を満たすエネルギーになりますが、「予想外に散財してしまった」ということがないように、お気をつけください。
高鷲佐織(たかわしさおり)
ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。