「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。

お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

地方に在住していると、「この地域は空き家が多いな」と感じる地域が多々ありました。人が住んでいる気配がないという家をいろんなところで目にしました。地方都市と呼ばれている比較的人口が多い街でも、駅や商業施設の周辺にはマンションが建ち並んでいるところもありますが、その他の地域では、「入居者募集」の看板が貼られている古い賃貸マンションや賃貸アパートも多々あります。少々交通が不便な地域に住むとしても、住む家を必要とするならば、通常、家を借りる場合は、毎月家賃を支払わなければなりません。また、住宅を購入する場合は、売買代金を支払わなければなりません。

ですが、一部の自治体は、その地域に移住する人を増やすために、「一定の要件を満たすのであれば、無償(タダ)で住宅をあげます」という制度を設けています。今回は、TV等のメディアにも取り上げられている茨城県猿島郡境町の「25年住み続けたら無償譲渡」の制度の詳細を見てみましょう。

■茨城県猿島郡境町「25年住み続けたら無償譲渡! アイレットハウス マハロタウンⅡ もらえる戸建住宅 第3弾」

※注意:2024年10月に、入居申込みの受付は終了しています。

<無償譲渡>

新築の戸建賃貸住宅に25年間継続して住んだ場合、土地と住宅を無償(タダ)でもらうことができる。

<対象者>

子育て世帯もしくは新婚世帯であり、以下の『所得基準』に該当する人
子育て世帯:同居者に18歳未満の子どもがいる世帯、または、妊娠している人がいる世帯のことをいう。
新婚世帯 :婚姻日からおおむね5年以内の世帯、または婚姻予定である世帯のことをいう。

『所得基準』
入居者および同居者の所得月額を合算した額が158,000円以上487,000円以下であること。なお、合算した額が所得基準に満たない場合でも、所得の増加が見込まれる場合は、境町役場の担当窓口に相談可能。
※町外から転入する世帯の人が優先となる。
※『所得基準』なので、「収入」ではなく「所得」で判断する。

<住宅の概要>

・間取り:3LDK
・延床面積:約100㎡(30坪)(敷地面積:約50坪)
・駐車スペース:2台分

<入居の条件>

・当住宅を生活の本拠とし、自ら居住する人
 ※家族全員の住民票の住所を当住宅に移さなければならない。
 ※当住宅をセカンドハウスとすることは認められない。
・境町に定住の意思がある人
・市町村税を滞納していない人
・町内会に加入し、地域交流する人
・町の広報活動に協力する人
・入居者または同居者は、暴力団員に該当しない人

<賃料>

・家賃:月額84,000円
(一定の要件を満たした場合、月額64,000円に減額)
・駐車料金:台数にかかわらず月額3,300円(税込み)
・敷金:84,000円(礼金、共益費、仲介手数料、更新手数料はゼロ)
・保証会社利用の場合は、下記のとおり保証料がかかる。
 契約時にかかる費用:家賃総額×50%
(計算例:(84,000円+3,300円)×50%=43,650円)
1年ごとにかかる費用:10,000円
・町内会費がかかる。

<注意事項>

・当住宅でのペット飼育はできない。
・住宅の仕様を選ぶことはできない。
・賃貸住宅に入居中期間中は固定資産税がかからないが、無償譲渡後からは、入居者の所有となるため、固定資産税がかかる。
・火災保険は、建物については境町で加入するので、家財については入居者が加入する必要がある。
・当住宅の修理や修繕について
 経年劣化によるもの:境町(管理会社)で修理する 。  故意や不慮の事態によるもの:境町と入居者で協議の上決定する。

・制度の詳細はこちら

こちらの制度は、第1弾は2022年12月、第2弾は2023年12月、第3弾は2024年10月に申込は終了しています。しかし、過去3回継続している制度ですので、興味のある方は、今後も継続するのか注視しましょう。あくまでも、自分と家族が暮らすための住宅です。セカンドハウス、ゲストハウスや民泊等には利用できませんのでご注意ください。