「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
地方に在住し始めて新しい街を歩いたときに、気づいたことがありました。都心部に比べて資格学校の教室(校舎)が少ないことです。現在は、Youtube等のSNSで個人が情報提供して、資格取得までの学習方法を伝えているものもありますが、私個人としては、SNSで発信されているすべての情報が「資格試験の最新情報で、かつ、正しい内容である」とは限らないので、資格学校が作成しているテキストや問題集等を使って学習するほうが、安心感があります。また、国や自治体の学び直し支援として、一定の要件を満たした資格学校等の教育訓練施設の講座を受講すると、支援金を受け取ることができるので、結果的に少額の費用で資格を取得することが可能です。
今回は、自治体の「学び直し」の支援にはどのようなものがあるか見てみましょう。
■大阪府四条畷市(しじょうなわてし)「四条畷市キャリアアップ補助金」
<対象者>
以下の【1】または【2】のいずれかに該当する人
【1】市内に在住している人
ただし、学生の場合は、当該年度に卒業を予定、かつ、就業を予定している人が資格を取得した場合に限る。
【2】四条畷市内の事業所等で継続的に勤務している人
<補助額>
・学習に要した経費×50%(10万円が上限)
さらに、資格を取得した場合は、学習に要した経費×70%(20%上乗せ、14万円が上限)
ただし、補助額が2万円に満たない場合は、対象外となる。
(例)39,000円×50%=19,500円→補助金の対象外(×)
40,000円×50%=20,000円→補助金の対象(○)
<対象となる経費>
・スクールや各種講座の学費
・自主学習のためのテキスト代や書籍代
・キャリアコンサルタントへの相談料
ただし、交通費や通信料のほか、学習に直接要しない費用は除く。
<対象資格>
・国家資格、公的資格、技能資格、その他それらに類する資格
ただし、社内資格、TOEIC、普通自動車第一種運転免許等は除く。
■埼玉県戸田市「戸田市求職者公的資格等取得支援事業」
<対象者>
・以下の【1】~【5】のすべてに該当する人
【1】戸田市在住の人
【2】市税に未納がない人
【3】正規雇用でない人(公共職業安定所を通じて求職活動を行っている人)
【4】資格取得後も戸田市に居住する意思のある人
【5】学生でない人
<補助額>
・資格取得にかかる受験料の半額(5万円が上限、1,000円未満切り捨て)
(例)○×資格の受験料が25,000円の場合、補助金額は12,000円となる。
・65歳以上の人(令和6度末までに65歳を迎える予定の人も含む)、または身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳のいずれの交付を受けている人については、受験料の4分の3に該当する額が補助される。
<対象となる経費>
・資格試験等の受験料、登録免許料、および登録料等
・資格認定機関が受講を指定する講習、または、講義の受講料等
ただし、資格認定機関が支払いを指定しない経費(自学のため購入したテキスト代、交通費等)は補助対象外となる。
・消費税および地方消費税額を除いた額が補助対象経費となる。
<対象資格>
・フォークリフト運転者、大型自動車免許、ファイナンシャル・プランニング技能士、社会保険労務士、ITパスポート、日商簿記検定、TOEIC、社会福祉士等
ただし、資格取得が令和6年度中(令和7年3月31日まで)にできるものに限られる。また、予算額上限に達し次第終了となる。
■終わりに
今回は2つの自治体の資格取得に関する補助金についてお伝えしました。
大阪府四条畷市の場合は、市内に在住している人であれば、他の地域に勤務している人であっても対象者となるため、四条畷市に係わる多くの人が対象となるのではないでしょうか。また、資格学校等の受講だけでなく、独学でのテキスト代や書籍代も対象となります。ただし、文房具代や辞書など汎用的なものは対象となりません。
一方、埼玉県戸田市の場合は、四条畷市とは異なり、正規雇用でない人や、これから就労するために資格を取得しようしている人が対象となります。また、独学でのテキスト代等は補助の対象外となるところも、四条畷市とは異なります。
つまり、自治体によって、補助の金額だけでなく、対象者となる範囲や、対象となる経費の範囲も異なることがわかります。すべての自治体で資格取得のための補助があるわけではありませんが、お住まいの自治体には、「学び直し」の支援があるか、ご確認してみるのはいかがでしょうか。