「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。

お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

5月ゴールデンウィークが過ぎて梅雨の時期に入ると、体調不良になってしまう人が多いと聞いたことがあります。春に、入学や入社、社内異動や転職など、環境が大きく変わった人は、毎日、新しい環境に慣れようと努力して気を張ってしまい、疲れがでている人もいるでしょう。体を酷使してしまったと思う人は、今度は「体を大切にすること」を考えてみましょう。その1つが、がん検診の受診です。がん検診は、お住まいの自治体で実施されていますが、行われる検診の種類や受診費用は、自治体によって異なります。そこで、今回は、3つの自治体のがん検診の内容をピックアップして、自治体による「検診」の違いについて見てみましょう(検診の一部のみ記載した自治体もあり)。

北海道小樽市

【1】胃がん検診
胃部エックス線検査(40歳以上・1年に1回)・費用:1,000円
胃部内視鏡検査(50歳以上・2年に1回)・費用:3,000円

【2】大腸がん検診(40歳以上・1年に1回)・費用:1,000円

【3】肺がん検診(40歳以上・1年に1回)・費用:無料(ただし、問診の結果により喀痰細胞診を行った場合は、500円)

【4】子宮がん検診(20歳以上・2年に1回)
検診内容は、子宮頸部の細胞診、内診等・費用1,300円

【5】乳がん検診(40歳以上・2年に1回)
マンモグラフィ検査・費用:1,000円

以下の1~3のいずれかに該当する場合は、がん検診が無料となる。
1.70歳以上の人
2.生活保護世帯の人
3.市民税が非課税世帯の人

参照:北海道小樽市のホームページ

東京都大田区

【1】胃がん検診
胃部エックス線検査(40歳以上・1年に1回)・費用:1,000円
ただし、前年度に胃部内視鏡検査を受診した人は、受診できない。
胃部内視鏡検査(50歳以上・2年に1回)・費用:1,500円

【2】大腸がん検診(40歳以上・1年に1回)・費用:200円

【3】肺がん検診(40歳以上・1年に1回)・費用:500円(ただし、問診の結果により喀痰細胞診を行った場合は、別途500円)

【4】子宮がん検診(20歳以上)
検診内容は、子宮頸部の細胞診、内診等・費用:偶数年齢500円、奇数年齢2,000円
(子宮体部の細胞診を行った場合は、別途、偶数年齢500円 奇数年齢2,000円)

【5】乳がん検診(40歳以上・2年の1回)
検診内容は、マンモグラフィ検査(2方向撮影)等・費用:500円

以下の1・2のいずれかに該当する場合は、がん検診が無料となる。
1.生活保護受給中の人
2.中国残留邦人等支援給付受給中の人

参照:東京都大田区のホームページ

大阪府大阪市

【1】胃がん検診(50歳以上)
胃部エックス線検査(1年に1回)・費用:500円
胃部内視鏡検査(2年に1回)・費用:1,500円
ただし、胃部内視鏡検査を受診した翌年度は、胃がん検診(胃部エックス線検査、胃部内視鏡検査いずれも)を受診できない。

【2】大腸がん検診(40歳以上・1年に1回)・費用:300円

【3】肺がん検診(40歳以上・1年に1回)・費用:無料(ただし、喀痰細胞診検査を受診する場合は、400円)

【4】子宮がん検診(20歳以上・2年に1回) 検査内容は、子宮頸部の細胞診等・費用:400円 (ただし、当該年度中に20歳になる人は、無料クーポン券が配布される)

【5】乳がん検診(30歳以上)
超音波検診(30歳~39歳・1年に1回)・費用:1,000円
マンモグラフィ検査(40歳以上・2年に1回)・費用:1,500円(ただし、当該年度中に40歳になる人は、無料クーポン券が配布される)
40歳以上の人は2方向、50歳以上の人は1方向の撮影となる。

以下の1~5のいずれかに該当する場合は、受診料金が免除される。
1.生活保護世帯の人
2.中国残留邦人の人
3.後期高齢者医療被保険者証を持っている人
4.高齢受給者証を持っている人
5.市民税非課税世帯の人

参照:大阪府大阪市

3つの自治体を見ただけでも、各自治体の各種がん検診における費用や受診できる年齢等が異なりますので、自治体から検診に係る書類が送付されたときは、受診できる要件を確認しましょう。上記のほかにも、前立腺がん検診や、喉頭がん検診などを行っている自治体もあります。

各自治体の検診の注意点として、会社員として働いている人は、自身が加入している健康保険組合等でがん検診を受診できる場合、自治体ではなく、加入している健康保険組合等を通して受診することになります。ただし、会社員の扶養家族(健康保険の被扶養者)は、健康保険組合等で受診できる検診に制限があったり、各種検診の受診対象外であったりする場合もありますので、加入している健康保険組合等において各種がん検診を家族も受診できるか確認の上、対象外であれば、自治体が行っているがん検診を受診しましょう。

自治体で行う検診を予約する際に「加入している健康保険組合では受診の対象外ですので、自治体のがん検診を受けたいです」と伝えると、予約がスムーズに進むと思います。定期的に体をチェックして、大切にしていきましょう。