「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
車を使って遠出する際に、「道の駅」に立ち寄る人は多いのではないでしょうか。では、「まちの駅」があることはご存じでしょうか? 今回は「まちの駅」についてお伝えしたいと思います。
まちの駅とは
まちの駅とは、無料で休憩できるまちの案内所のことで、誰でも利用することができます。地域住民や来訪者が求める地域情報を提供する機能を備え、人と人との出会いと交流を促進する空間施設であり、また、まちづくりの拠点となり、まちとまちをつなぐ役割をもつものです。
まちの駅には、主に4つの機能があります。
【1】案内機能 まちの案内人が、地域の情報について丁寧に教えてくれる。
【2】休憩機能 トイレが利用でき、無料で休憩できる。
【3】交流機能 地域の人と来訪者の、出会いと交流をサポートしてくれる。
【4】連携機能 まちの駅間でネットワーク化し、もてなしの地域づくりを目指している。
まちの駅は誰でも作れる
まちの駅は、誰でもどこにでも作ることができます。場所や施設に制限はありません。既存の施設やお店が「まちの駅」になることができます。まちの駅になるのは、以下の必須アイテムがあります。
・「まちの駅」の看板設置
簡易ステッカーや手づくりのものでもOK
・トイレ・休憩場所の提供
貸し出しOKのトイレ、腰掛けができる場所
・まちの案内人
お店ならば、店員さん。常駐、兼務可能
・地域の情報提供
パンフレットや地図を用意(既存のものでもOK)
具体的にまちの駅を設置するためには、申請と年会費等が必要になります。
申請方法
【1】全国まちの駅連絡協議会事務局
特定非営利活動法人 地域交流センターに連絡
電話:03-5823-4190
メールアドレス:oshiete@machinoeki.com
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【2】事務局から必要書類等が送付される
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【3】必要書類等を送付後、書類の内容を事務局内で確認(期間は1カ月程度)
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【4】まちの駅認定
費用
全国まちの駅連絡協議会への加盟と、年会費・新規認定料がかかります。
個人でお店を経営されている場合は、お店を知ってもらう「宣伝」としてまちの駅を設置するのもよいかもしれません。
「道の駅」と「まちの駅」は何が違うのか?
「道の駅」は、市町村またはそれに代わり得る公的な団体のみが設置することができます。民間で設置することはできません。一方、「まちの駅」は、市町村等の行政機関だけでなく、民間であっても、要件を満たしていれば、設置することができます。
また、「道の駅」は、主要な道路沿いにあり、主な目的は、ドライバーのための休憩施設です。一方、「まちの駅」は、各地域の街中にあり、地域住民や観光客などが休憩でき、お互いの交流を促進する空間施設です。
「まちの駅」の紹介
具体的に2つまちの駅をご紹介します。
越後長岡まちの駅(新潟県長岡市)
越後長岡まちの駅は、「ネットワーク」を持ち、地域のあちこちにまちの駅が設置されています。和菓子屋さん、酒屋さん、入浴施設など。まちの駅をエリアごとに分けてマップも作成されています。越後長岡のまちの駅の詳細はウェブサイトをご参照ください。
もっともまちの駅が多い都道府県は、栃木県(190ヶ所)であり、その中の102ヶ所を鹿沼市が占めています(2023年5月22日現在)。鹿沼市のまちの駅名は、「○○の駅」等と個性的な名前をつけています。例えば、日本茶・茶器専門店では「まごころとお茶の駅」、スポーツジムでは「筋トレの駅」、そば屋さんでは「挽き立てそばの駅」とそのまちの駅の特徴がわかる駅名となっています。
まちの駅が多く設置されている地域は、地域住民の連携や交流が活発化されている証拠ではないでしょうか。国内観光の場所を決める際に「まちの駅」が多く設置されている地域にするのもよいかもしれません。観光地だけではない魅力を知ることができ、かつ、地域の方々と交流ができて楽しいと思います。都道府県内にあるまちの駅の一覧はウェブサイトに記載されていますので、ご参考になさってください。