「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。

お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

進学や就職、転職、引越しなどで、新しい地域にて新しい生活をスタートさせている方もいらっしゃるでしょう。例えば、東京都から神奈川県に引越しする場合など、隣県で新生活を送る場合は、以前の生活と大きく異なることは少ないと思いますが、東京都から新幹線や飛行機などで長距離移動をした地域での新生活となると、「あれ? これってどうするのかな?」と戸惑うこともあると思います。

東京から地方へ引越しする際によく言われることは、「車は必需品」ということです。東京では、公共交通機関が広範囲において網羅されているため、車を持っていない人も多いのではないでしょうか。「地方での生活を始めるにあたって、車を購入しないといけないのか?」そんなことはありません。実際に、私自身は、車を購入せずに地方で生活しています。ただし、車を使用したほうが、生活範囲が広がり便利であることは確かです。

そこで、今回は、車を所有せずに、「車を借りる」サービスを2つご紹介しますので、まずは、車を借りてその地域での生活に慣れてから、所有したほうが自分の生活に適していると感じたときに購入を検討しても遅くはないと思います。

「車を借りる」という選択肢

【1】自動車メーカーのサブスク

車のサブスクとは、毎月定額料金を支払うことで、契約した期間中はマイカーのように使用することができるサービスです。基本的には、自動車に係る税金や保険料等の諸費用も含まれるので、個別に納税することや保険契約の手続き等は不要です。車のサブスクには、様々な企業が参入していますが、まずは、自動車メーカーのサービスが安心ではないでしょうか。代表的なトヨタのサブスクをご紹介します。

●トヨタ「KINTO(キント)」

マイカーに係る下記の費用が含まれます。

自動車税、自動車保険、車検、メンテナンス(法定点検・定期点検等)、消耗品、故障修理・代車、車両本体、登録時諸費用。

新車を借りることができます。契約満了時には車を返却するため、以下の禁止事項があります。
・タバコ、電子タバコ(全面禁煙)
・ペットの乗車
・顧客のカスタマイズ・改造、または競技・サーキット走行

また、注意事項として、契約期間中の月間平均走行距離が1,500kmを超過した場合、超過1kmあたり11円(税込)、レクサス車は22円(税込)で計算した金額を支払う必要があります。契約プランは2種類あり、契約期間は3年以上となります。2種類のプランの違いはKINTOサイト「契約プラン」をご参照ください。

月額料金は、車の種類によって異なります。例えば、プリウスUグレードの場合、月額16,640円~。他のサービス内容は、下記のトヨタ「KINTO(キント)」のホームページをご参照ください。

【2】カーシェアリング

カーシェアリング(略してカーシェアとも呼ばれています)とは、登録をした会員の人達のなかで、車を共同で使用するサービスのことです。短時間から車を借りることができ、短い時間であれば、レンタカーよりも使用料金が安くなるように設定されていることが多いです。

カーシェアも様々な企業が参入していますが、駐車場でよく見かけるのは、「タイムズ」です。「タイムズ」では、約1万4,000の拠点(ステーション)があり、他と比べると圧倒的に多いようです。まずは、自宅周辺や勤務先周辺にカーシェアの車両があるか、確認してみましょう。カーシェアのメリットとしては、レンタカーとは異なり、車両さえ空きがあれば、深夜でも早朝でも24時間、好きな時間に借りることができることです。営業所に返却する時間を気にすることなく使用できるので便利ですね。今回はもっとも拠点の多い「タイムズ」をご紹介します。

使用方法の流れ
1.入会
2.パソコンまたはスマートフォンで予約
3.車に会員カードをかざしてドアを解錠して出発
4.運転(給油や洗車すると割引あり)
5.出発したステーションに車を戻し、会員カードでドアを施錠して返却
6.クレジットカードで利用料金分を決済

費用
・初期費用:1,650円(カード発行手数料)
・月額基本料金:880円(利用料金に充当できる)
なお、学生の場合は、4年間の月額基本料金が無料になるプランがあります。
・利用料金は、車種によって「ベーシック」「ミドル」「プレミアム」と3種類に分かれています。各料金は、タイムズのカーシェア 利用料金をご参照ください。

他のサービス内容は、下記のタイムズのカーシェアのホームページをご参照ください。

電車やバスが頻繁に通っていない地域であったとしても、そこに永住すると決まったわけではなく、学校の卒業や転勤などにより、数年したら違う地域に住む可能性があるのならば、すぐに車を購入するのではなく、サブスクやカーシェアを利用することを検討してもよいのではないでしょうか。