「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。

お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか? 」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

4月に入り、進学や就職、転職、引越しなどで、新しい地域にて新しい生活をスタートさせている方もいらっしゃるでしょう。例えば、東京都から神奈川県に引越しする場合など、隣県で新生活を送る場合は、以前の生活と大きく異なることは少ないと思いますが、東京都から新幹線や飛行機などで長距離移動をした場所での新生活となると、「あれ? これってどうするのかな? 」と戸惑うこともあると思います。

私自身が、東京から引越しして、地方で暮らし始めた際にしてよかったことを3つお伝えします。地方での暮らしに少しでもお役に立てていただけたら幸いです。

【1】お財布のなかにお札の現金を入れましょう(できれば1万円以上)

地方では「現金払い」のみという場合が多いと感じました。東京では、キャッシュレス化が進み、「現金不可」としているお店もあります。10代や20代の若い世代には、外出時に財布を持たず、スマートフォン決済(Pay Pay、LINE Pay、au Payなど)で支払いをする人もいるでしょう。

しかし、地方では、キャッシュレス化が進んでいるとは言えないようです。少なくとも私が暮らしたことのある地方の地域では、「支払いは現金のみです」と言われることもありました。また、キャッシュレス決済ができるお店であっても、「ランチタイムはクレジットカードの利用不可」、「Pay Payのみスマートフォン決済可能」、「1万円以上の利用の場合に限り、クレジットカード利用可能」など、条件付きでキャッシュレス決済ができる場合もありました。

2つ目の理由は、終電(鉄道路線で営業時間帯において最後に運転される電車)、終バス(あるバス路線で、一日の最後に運行されるバス)の時間が早いので、乗り遅れた場合のタクシー代として、現金があると安心です。

地方暮らしを始めた方は、自分が利用する最寄り駅まで終電や、バス停までの終バスの時間を把握していますか? 東京の場合、下りの電車であれば午前0時を過ぎても、乗ることができる電車が多く、また、都内のバスも深夜時間帯に運行しているバス路線もあります。しかし、地方では、終電や終バスの時間が東京より早く、乗り遅れたからといってすぐにタクシーを見つけられるとは限りません。タクシー会社に連絡をしてタクシーに来てもらう場合は、追加料金(迎車料金)がかかります。現在も「支払いは現金のみ」というタクシーもありますので、現金は必要です。住む場所にもよりますが、地方都市であれば、1万円~2万円お財布の中にあると安心かもしれないですね。

【2】最初は、今まで食べてきたもの、使用してきたものを購入しましょう

地方のスーパーマーケットや道の駅などに行くと、東京にはない目新しい食材や日用品を見つけることができるでしょう。ただし、新生活がスタートしたときは、心身ともに緊張する時間が多くなり、帰宅した後に疲れを感じることもあるでしょう。新生活では、新しいことが多い分、自宅で食べるものや使うものは、今まで通りであるほうが、リラックスできると思います。新しい地域での生活に慣れてきたら、興味のあるその地域ならではのものを購入して生活に取り入れてみましょう。

【3】地域の広報紙には目を通しましょう

その地域のルールや生活する上での役立つ情報は、市役所や町役場などの行政機関が発信するホームページやSNSでも見ることはできますが、インターネット上の情報は多すぎて、なかなか自分がほしい情報にたどり着けないこともあるでしょう。

地域の広報紙を、全戸配布している自治体もあります。また、全戸配布ではない自治体でも、新聞購読している場合はチラシなどと一緒に配布され、新聞購読していない場合でも市役所、町役場、商業施設などで手に取ることができます。内容は、緊急時・休日対応できる医療機関の紹介、ごみ分別収集の方法や変更のお知らせ、地域のイベント情報などが掲載されています。

新生活では、心身ともに良い刺激もありますが、負荷がかかることもあるでしょう。お財布の中の残高を確認し、いつも食べているものを口にして、その地域のことがよくわかる広報紙を手に入れて、安心して新生活を送っていただければと思います。