「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。 連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか? 」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
一般的には、3月中旬から4月上旬までは、「引越し繁忙期」と言われています。進学や入社、転勤などで住み慣れた街を離れて、4月から新しい街で新生活をスタートする人も多いでしょう。私自身も、東京と地方を何度も引越ししてきました。そこで、今回は、私個人の経験をもとに、「引越し費用」についてお伝えいたします。
引越し費用を安くすませるための手段
引越しすることが決まったときに最初にすることは、引越し業者に対して「引越し費用の見積もり」だと思います。一人暮らしの場合、引越し費用を安くすませるために、自分で引越しする人もいますが、多くの人は引越しのプロである引越し業者にお願いすると思います。
【1】複数の引越し業者に見積もりをお願いして、費用を比較する
下記のような一括で複数の引越し業者への見積もりができるHPもあるので、利用してみてもよいと思います。
【2】可能であれば、引越し日を土日祝日ではなく、平日にする
やはり、仕事が休みの日に引越ししたいと考える人が多いので、週末や祝日に引越しの依頼が集中します。引越し日を平日にすると、値引きしてもらえる可能性があります。ただし、4月上旬までは繁忙期という理由で値引き不可とされる場合もあります。
【3】引越し見積もりの際に、処分する家電や家具は、明確に伝える
荷物が多ければ多いほど、引越し業者としては、大型トラックを準備したり、トラックから複数回搬入搬出したりすることとなり、作業人員も複数人確保しなければならないため、結果的に引越し費用も増加します。したがって、引越しを依頼する側としては、引越し先に持っていかないものは、あいまいにせずにはっきりと伝えておきましょう。
【4】ダンボールなどの資材は、自分で探して用意する
引越し見積もりの際、引越し業者が持参するダンボールやガムテープ等の資材は、無料なのか有料なのか、確認しましょう。有料の場合は、近くのスーパーマーケットやドラッグストア等でダンボールをもらえるのであれば、自分で用意すると、引越し費用のうち「資材」に係る費用が少なくてすみます。
【5】具体的に、引越し費用として支払うことができる上限額を伝える
小さいお子さんがいるご家族での引越しの場合、梱包作業を家族で事前に行うことは難しいと思います。梱包、搬出、搬入、開梱、荷物整理まですべて引越し業者にお任せできる引越しプランもありますが、費用はかかります。ただ、「どこまで作業してもらうのか」「引越しする前日に作業員が必要なのか」など細かい相談にのってくれる引っ越し業者もいます。その場合、「費用をできるだけ安く抑えたい」と漠然としたお願いではなく「○○万円には抑えたいです」とはっきりと金額を伝えましょう。引越し業者としてもその金額で引き受けることができるのか、もし予算オーバーとなる場合でも、「○○作業については追加で○万円かかりますが、いかがですか?」と具体的に追加料金についても説明してくれます。
誠意を感じない引越し業者はやめておきましょう
「引越し費用が他社に比べて圧倒的に安い=リスクが高い」と認識しておきましょう。引越し費用にも「適正価格」があります。物を購入する場合とは異なり、人が行うサービスに対してかかる費用に対して「安ければ安いほどいい」と考える人もいますが、それは大きなリスクを伴います。作業員としての研修を経験していないアルバイトが行う引越し作業では、家電や家具を傷つけるリスクが高く、引越し作業をいかに早く終わらせるかに重点が置かれて、顧客の荷物を雑に扱われるケースもあります。私個人の経験ですが、引越し見積もりの際に、荷物の内容を把握することなく「他社の見積もりはいくらと言っていますか? うちはそれよりも安くやりますよ」というような発言をする引越し業者はご注意ください。
なお、引越し後には、引越しの際に梱包したダンボールを開けることなく、新居にダンボールのまま収納することはおすすめしません。ダンボールには、虫などが潜んでいる可能性もあるため、引越しに使ったダンボールはすべて開梱して、ダンボールはできるだけ早く処分しましょう。引越しは大変ですが、引越し後の生活は、新鮮で新しい発見がたくさんあると思います。少しずつ荷物を片づけながら新生活を楽しんでください。