あと440日の回 - お試しアンテナで地デジへGo!

アナログ停波まで1年数ヶ月という昨今だが、集合住宅に住んでいる人にとっては、なかなか地デジへの道は険しい。特に賃貸集合住宅の場合、アンテナの地デジ対応が進んでいないのだ。テレビは買い替えたい、でも大家さんがアンテナを改修してくれないという悩みを抱えている人が増えている。今回はそんな人のために、デジサポのお試しアンテナを使う方法をご紹介する。

先日、姪っ子が「地デジテレビを買いたいのでつきあってほしい」というので、池袋の量販店にいった。本人、お金も用意し、買う気満々で機種も決め、店員との値下げ交渉にも熱が入り、「じゃあ、銀行へ行ってお金おろしてきますから」ということになり、その前に食事をした。その席で、ふと私が思いだして「ところで、マンションのアンテナは地デジに対応している?」と尋ねた。「え?アンテナって地デジ用といかそういうのあんの?」と目を丸くしている。一応、管理会社に電話で確認した方がいいということで、電話してみると「対応してません。改修時期も未定です」のまさかの展開。本人、食事をしながら「今晩はきれいな画面であれを見る、これを見る」と語っていたのが、一転して引っ越しまで考えなければならないところまで転落してしまった。

総務省が行った最新(09年9月)の「地上デジタル放送に関する浸透度調査」でも、地デジ普及の弱点は賃貸集合住宅であることがはっきりしている。分譲集合住宅では、地デジ対応済みが75.7%であるのに対し、賃貸集合住宅では52.5%と半分でしかない。しかし、大家さんの側から見ればしかたのないところもあるのだ。集合住宅のアンテナ改修は簡単ではないからだ。アンテナ交換だけで済めば、数万円の工事費で済むこともありえるが、配線を考え直さなければならないということになれば数百万円単位の工事になってしまう可能性もある。しかも、集合住宅向け地デジ工事への補助金を出すとか、出さないとかいう議論もされているので、多くの大家さんが補助金が出るのを待ってからと考えるのはしかたのないことだ。

しかし、困ってしまうのは入居者だ。アンテナの対応をよく確かめず、テレビだけ買ってしまい、今のテレビはアナログチューナーを内蔵していないものがほとんどなので見ることもできず、結局DVD、BD再生専用モニタとしてしか使えず、テレビ放送は古いアナログテレビで見ているという人もいるそうだ。

そこで、賃貸住宅にお住まいの方で、これから地デジを買おうと考えている人は、まず第一に大家さんか管理会社にアンテナの地デジ対応を確認すること。ここで非対応だからといってあきらめてはいけない。デジサポサイトの「簡易連続調査の結果」を見にいこう。これはビル陰などの受信障害を調べるために、測定車が道路を走り、受信状況を調査したものだ。マップが表示されるので、自分の住んでいる地域を表示させると、受信状況が良好な部分は青、詳細な調査が必要、つまり受信状況に問題があるところがオレンジ色で表示される。道路を走行しながらの測定なので、自分の家の状況まではわからないが、目安にはできるだろう。

これで、自分の家の近辺が受信できるはずだと確信できたら、次は無料の「地デジ専用アンテナキット」の貸し出しを申請しよう。これは、地デジ室内アンテナ、チューナーなどアナログテレビで地デジ放送を見るための一式で、送料、返送料、使用料など一切の費用はかからない。これで、自宅のテレビに室内アンテナをつないでみることができる。もし、これでうまく地デジ放送が見られるのであれば、地デジテレビを買っても、室内アンテナで対応できる。集合住宅のアンテナが改修されたら、そちらに切り替えればいいのだ。ただ、これでも見られない場合は、ちょっと問題だ。地道に大家さんと交渉するか、引っ越しを考えるしかない。

なお、「簡易連続調査の結果」「地デジ専用アンテナキットの貸し出し」とも全国に対応している。アンテナが地デジ非対応だからといって、あきらめることはない。せっかくのサービスなのだから、どんどん利用してみよう。

このコラムでは、地デジにまつわるみなさまの疑問を解決していきます。深刻な疑問からくだらない疑問まで、ぜひお寄せください。(なお、いただいた疑問に個々にお答えすることはできませんので、ご了承ください)。