今回のテーマは「ハーブ」である。この私にこんなテーマを出すぐらいだから、おそらく法を脱している方のハーブの話をしてくれということだろう、私ぐらいの経験を積むと、このぐらいの担当の意志は難なく汲み取れるようになる。

しかし、私もこう見えて、意外なことに、法を逸脱している方のハーブにそこまでくわしいわけではない。

そういうわけで、自らの不勉強を戒めるため、いつも通りグーグル先生に教えを乞うたところ「脱法ハーブ 2018」と予測変換が出た、どうやらこの世界も生き馬の目を抜く世界らしく、時流があるようだ。

そこに書いてあることは詳しくは書けないのだが、注目すべきは「決済は某有名仮想通貨のみ」という文言である。

仮想通貨というのは「匿名性が高い」ことが特徴だが、一体それがどこで役に立つのか疑問で会ったが、合点が行った、やはり何事も調べてみるものである。

仮想通貨と言えば、去年の仮装通貨バブルで上がり切った時にビットコインを買ってしまい、その後大暴落を食らう、という絵にかいたような投機をやってはいけない人ぶりを見せつけてしまったが、その時のビットコインは悔しいのでまだ保有している。

もしかしたら、今ここで使うために、私はビットコインを買ったのかもしれない。

もちろん本当に買っていたら、マイナビに載せられない、というか、どこにも載せられない話になってしまうし「詳しくは署で聞こう」ということになってしまうので、買ってはないが、「簡単にネットで手に入る」というのは本当なのだということはわかった。

仮に法に触れていないとしても、体には確実に良くないだろう。この腐敗したこの世界に落されたゴッズチャイルドである我々に与えられた最後の福音と言われる「ストロングゼロ」でさえも「痛飲したら悪いことが起きそう」なことぐらいはわかる。

よの中には、それらのお葉っぱ様をご自宅で育てている、という家庭的な方もいらっしゃるそうだ。

私は、何かを育てるという趣味は一切ないのだが、夫は何かしら毎年プランターで育てている。よもや、と思い、庭に出て確認して見たがどうやら大きな麻的な物は育ててないようである。

また、法を脱していないハーブ類も育てていないようだ、確かに家で作るハーブには「できすぎ問題」がある。

ハーブなんて、ひとつまみあれば良いものである、それが主食規模で出来ても持て余すだけだ、人にあげるにも限界があるし、あげすぎたら「ハーブババア」と呼ばれるだけである。

だが、唯一、薬味として小ネギだけは育てている。ネギと言うのは、豆腐などに散らすだけで立派な1品料理に見える重宝なものである。

もちろん「外に出てネギを取ってくるのがだるすぎる」という理由で、パックから出されたままの豆腐が登場しがちな我が家ではあるが、興が乗っている時は料理に活用されている。

その小ネギがある日、黄色に変色してしまっていた。去年ごろ、アスパラを根元から刈り取ってしまった私だが、今回は何もしていない。

それとも私が「触るだけで枯れる」というレベルに達してしまったのだろうか、いくら何でも悲しきモンスターすぎる。

すると夫が「酒をやってしまったから」と言った。何でも日本酒を一升半ほど、小ネギに与えてしまったらしい。

何故そのようなことをしてしまったのか、酒が植物の成長に良いという情報でもあったのか、と問うてみたが要領を得ない。

夫曰く「説明できない」そうだ。どうやら「何か良さそうな気がして、ノリでやってみた」ようである。

呆れる、というよりは、この人でもそういうことするんだ、という新鮮さがあった。

「何か良いことが起きそうな気がして、やってみたら悪いことが起こった」というのは私には良くあること、というか、人生自体がそういう行動で成り立っている、と言っても過言ではない。 しかし、夫がそういうことをするのは意外であった。

バカなことをしているのは自分だけで、他の人間は全員利口に生きてるように思える時があるが、必ずしもそうではないようだ。

「それにしても一升半は多い」

平素、バカをやらない人ほど、やる時は規模がでかいのかもしれない。

筆者プロフィール: カレー沢薫

漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は全3巻発売中。