キャリアチェンジを見据えた働き方

多くの人が、否応なしに、自身の働き方やキャリアについて考えさせられる機会となったコロナ禍。結果的に、異業種・異職種へのキャリアチェンジに踏み切った人、将来的に検討している人は、どうやら少なくないようです。

そこで、リクルートスタッフィングの事務職未経験者向け無期雇用派遣サービス「キャリアウィンク」のマネジャーを務める井上結実さんに、転職市場の実態や動向、若手社員がキャリアチェンジを成功させる秘訣について、詳しく話を伺いました。

• キャリアチェンジを見据えて働いていますか?

自分の市場価値を意識しながら働く

今すぐではないけれど、将来的には異業種・異職種へのキャリアチェンジを考えている。そんな人は、いざその日がくるまで、目の前の仕事や生活にどう向き合い、過ごしていけばいいでしょうか。井上さんはこうアドバイスします。

「まずは、自分が今いる環境、現職や副業、個人的な活動などの中で、異業種・異職種に行っても、経験がないことをカバーできるくらいの強みを探しておくこと。かつ、それを伸ばしていく努力をすることが大事だと思います」。

加えて、キャリアチェンジしても活かせる汎用的なスキル、ポータブルスキルを身に付けておくことも必要だと井上さん。それには、常に自分の市場価値を意識しながら働くことがポイントだと言います。

「日々の仕事に、『これは他の業種や職種でも生かせるかも?』という広い視点で向き合うようにする。そして、ルールやマニュアルに沿いながらもより早く正確にこなせるように工夫するとか、より高いアウトプットができる方法を考えてみるなど、どうしたら自分の市場価値が上がるのかを考えながら取り組むのです。

例えば、店舗で働いている人なら、営業時間内に接客をしながら行わなければならないバックヤード的な仕事を、一人で効率的に、生産性高く完結させる工夫をするなど。

こうしたことって、実は皆さん、日々当たり前のようにやられていることなのではないかと思うのですが、そこを意識することで、身に付けたスキルに汎用性が増し、異業種・異職種でも活かせるものになっていきます。そういう視点を、吸収力や柔軟性が高い20～30代のうちから持っておくことは、とても重要なのではないかと思います」。

• ポータブルスキルの大切さを話す井上さん

自分自身を振り返り、成長を目指す

さらに井上さんは、「自分が得意なことと、頑張ってできるようになったことを、きちんと自覚しておくことも大事」だと話します。

「企業は、その人が過去の経験の中で出した結果が、たまたまできたことなのか、狙ってできたことなのかという点に、意外と注目しています。

目の前に立ちはだかった困難に対し、自分自身が何を狙って、どう行動し、どんな結果が出たから、うまくいったと思っている。または、満足いく結果が出なかったから、次にこう生かそうと思っている。

そんな風に、日頃から自分自身に対する振り返りを行い、状況を認識し、自ら成長していく姿勢を持てると、将来的なキャリアチェンジにも生きてくると思います」。