多くの人が、否応なしに、自身の働き方やキャリアについて考えさせられる機会となったコロナ禍。結果的に、異業種・異職種へのキャリアチェンジに踏み切った人、将来的に検討している人は、どうやら少なくないようです。
そこで、リクルートスタッフィングの事務職未経験者向け無期雇用派遣サービス「キャリアウィンク」のマネジャーを務める井上結実さんに、転職市場の実態や動向、若手社員がキャリアチェンジを成功させる秘訣について、詳しく話を伺いました。
企業の採用活動は活発化。未経験者の採用ニーズも
コロナ禍は転職市場にも大きな影響を及ぼしましたが、今、企業の採用活動は全体的に回復傾向に。
厚生労働省発表の令和3年9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.16倍で前月比0.02ポイントアップ。また、新規求人倍率(季節調整値)は2.10倍で前月比0.13ポイントアップしています。
中でも特に採用活動が活発なのはIT業界やコンサル業界。職種ではITエンジニア。その背景について井上さんはこう説明します。
「これらの業界・職種の人手不足はコロナ禍以前から顕著で、企業の急速なDX推進などを受け、今また、求人がコロナ禍前の水準に戻ってきている状況です。
また、コロナ禍直後は経験者やスキルの高い人に絞って採用する動きが見られましたが、構造的な人材不足は深刻な状況で、最近では、第二新卒などのキャリアが浅い人や、未経験者の採用ニーズが伸びてきています」。
加えて、コロナ禍を経て多くの企業が、働き手が重視するライフワークバランスに寄り添った新しい人事施策を推進している点も見逃せないと井上さん。
「今後も求人は伸びていく見通しですので、キャリアチェンジを考えている人にとっては、いい時期と言えるのではないでしょうか」。
情報感度はキャリアチェンジに必要な武器
ただ、転職市場の動向は、非常に変化が激しいと井上さんは言います。
「求人数と求職者のバランスは、世の中の動きで大きく変わります。実際今も、3ケ月前と比較するとだいぶ状況が違っています。キャリアチェンジを成功させるには、タイミングを戦略的に考える必要もあると思います」。
そこで重要になってくるのが情報です。しかし、リクルートスタッフィングが行った調査によると、キャリアチェンジに際し、情報収集に課題感を感じていた20代が多かったそうです。必要な情報を得るためのコツはあるのでしょうか。
「毎日ニュースをチェックしたり、人から話を聞いたり、求人サイトの動きを定期的かつ継続的にリサーチするのもお勧めです。自ら積極的に情報をキャッチアップしていこうという姿勢で、できるだけアンテナを高く張り続けることが大事だと思います」。
変化の激しい世の中、情報感度を磨き、高める努力を怠らないことが、叶えたい未来を引き寄せるポイントになりそうです。
取材協力:井上結実(いのうえ・ゆみ)
株式会社リクルート スタッフィング
エンゲージメント推進部 キャリアウィンクグループ マネジャー
アパレル系企業2社を経て、2011年にリクルートスタッフィングに入社。現在は、事務職未経験者向け無期雇用派遣サービス「キャリアウィンク」の採用や研修、マッチング業務などに従事。自身のキャリアチェンジ経験も活かしながら、未経験から事務職へチャレンジする人々を応援している。