多くの人が、否応なしに、自身の働き方やキャリアについて考えさせられる機会となったコロナ禍。結果的に、異業種・異職種へのキャリアチェンジに踏み切った人、将来的に検討している人は、どうやら少なくないようです。

そこで、リクルートスタッフィングの事務職未経験者向け無期雇用派遣サービス「キャリアウィンク」のマネジャーを務める井上結実さんに、転職市場の実態や動向、若手社員がキャリアチェンジを成功させる秘訣について、詳しく話を伺いました。

  • コロナ禍で異業種、異職種への転職が増加?

20代がキャリアチェンジで求めているのは将来性と成長性

リクルートスタッフィングが行った調査によると、コロナ禍に、『業種・職種ともに転換=キャリアチェンジ』した人の割合は59.6%。年代別では、20代が52.3%(30代44.1%、40代46.2%)と最も高い結果※に。

※2021年9月17日発表「転職者におけるキャリアチェンジ(業種・職種転換)の実態調査」

  • キャリアチェンジ実施の有無 出典:転職者におけるキャリアチェンジ(業種・職種転換)の実態調査

また、キャリアチェンジをした理由について、『待遇・給与』『経験・スキルを活かしたい』『新しいことに挑戦したい』などの項目は年齢による差があまり見られなかった一方で、20代が高い割合で挙げたのが、『自分が成長できる環境で働きたい』『成長企業や業界で働きたい』、また『ライフワークバランスを充実させたい』といった項目。

さらに、キャリアチェンジの満足度は、20代が74.6%で(30代66%、40代62.4%)、最も高かったそうです。

こうした結果に井上さんは、「20代は、キャリアチェンジに将来を見据えた成長意欲を示しつつも、価値観は多様化している。そんな特徴が見てとれます」と話します。

  • 若手社員のキャリアチェンジに関する課題を指摘する井上さん

若さ故?! 20代が抱くキャリアチェンジの課題感

他方、20代は、キャリアチェンジに最も課題を感じている年代でもあると井上さん。

「キャリアチェンジをする際に困ったことを聞いたところ、『自身のスキルや経験をどうアピールしていいのか分からない』『未経験なので面接時などで希望条件を言いにくかった』『どのように情報収集すればよいかわからなかった』など、20代は他の年代に比べて困ったことが多岐にわたっており、キャリアチェンジに課題を感じている傾向が強いことが分かりました」。

  • キャリアチェンジ(異業種または異職種への転職)をする際に困ったこと 出典:転職者におけるキャリアチェンジ(業種・職種転換)の実態調査

これは、実際に井上さん自身も、日頃の業務で感じていることだと言います。

「販売職や飲食業から事務職へのキャリアチェンジを希望している方々からよくキャリア相談されますが、やはり、経験がないこと、持っている知識や情報が少ないことが、自分の中で大きなネックになってしまい、自身の強みや長所をうまく語れない方は多くいらっしゃいます。それも、比較的若い世代における傾向です」。

異業種・異職種へのキャリアチェンジ成功のカギ、その一つは自己アピール力。自分自身を、深く、客観的に見つめ直す作業が、叶えたい未来に近づくための第一歩になると、井上さんは言います。

取材協力:井上結実(いのうえ・ゆみ)

株式会社リクルート スタッフィング
エンゲージメント推進部 キャリアウィンクグループ マネジャー
アパレル系企業2社を経て、2011年にリクルートスタッフィングに入社。現在は、事務職未経験者向け無期雇用派遣サービス「キャリアウィンク」の採用や研修、マッチング業務などに従事。自身のキャリアチェンジ経験も活かしながら、未経験から事務職へチャレンジする人々を応援している。