ExcelやWordなどのパソコンスキルは、今やどのようなビジネスにも欠かせないものとなりつつあります。それらの利用スキルを客観的に証明したものが、「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」です。MOSの資格を持っていると、実務に必要なパソコン知識や技術を取得でき、作業効率が上がるばかりでなく、就職や転職の際に有利になることもあります。そこで本稿では、MOSの内容や取得のメリットなどについてまとめてみました。

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マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)の内容

MOSの概要

MOSとは、マイクロソフトオフィス製品の利用スキルを証明できる世界共通の資格です。MOSの資格試験は約200もの国や地域で実施されており、グローバルに通用します。試験科目は、「Wordワード(文書作成ソフト)」「Excelエクセル(表計算ソフト)」「PowerPointパワーポイント(プレゼンテーションソフト)」「Accessアクセス(データベース管理ソフト)」「Outlookアウトルック(電子メール・情報管理ソフト)」の5つがあります。マイクロソフトオフィス製品はバージョンごとに新しい機能が追加されたり改良されたりするため、MOSのそれぞれの試験科目はバージョンごとに用意されています。たとえば、Wordであれば、「Word2016」「Word2013」「Word2010」に試験が分かれています。

また、WordとExcelには、スペシャリスト(一般)とエキスパート(上級)の2つのレベルが設けられており、レベルによって出題範囲や求められるスキルが異なっています。なお、これらの試験科目は個々に独立しているため、はじめから上級の試験を受験することもできます。資格のバージョンアップや更新制度はないため、新しいバージョンの資格を取得するには改めて試験を受ける必要があります。

受験資格

MOSには受験資格に制限がなく、年齢や国籍にかかわらず誰でも受けられる試験です(試験当日に受験者が小学生以下である場合には、保護者の同意が必要)。ただし、同じ科目を再受験するには、前回の試験から所定の時間をあけるルールが設けられています(2回目の受験は前回の受験から24時間、3回目以降の受験は前回の受験から48時間待つ)。

受験方法

MOSを受けるには、『全国一斉試験』と『随時試験』の2つの方法があります。全国一斉試験は、文字通り全国一斉に実施される試験です。試験日の約1カ月~1カ月半前からオンラインまたは郵送で申し込みができ、試験は毎月1~2回実施されます(原則として、毎月いずれかの日曜日に実施)。試験会場は、全国の一斉試験実施会場から選択します。

一方の随時試験は、最寄りの試験会場で受験できるもので、試験実施日時は各試験会場が設定した日程、試験開始時間となります。申し込み方法や期間も、各試験会場によって異なります。随時試験はパソコン教室などが会場となっているため、自分の都合に合わせて試験日や時間を選びやすく、遠くの会場まで足を運ぶ必要もなく便利です。

MOSの試験は、試験会場に用意されているパソコンを使った実技のみで、筆記試験はありません。試験時間は50分。問題はパソコン画面上に表示され、マイクロソフトオフィスアプリケーションソフトを使って要求された作業を確実に行えるかどうかが問われる試験となります。

合格点・試験結果

MOSの合格率や科目ごとの合格点は非公開であるものの、1,000点満点中550~850点の範囲が合格点の目安となっています。試験終了後、合格点とともに試験の得点と合否もパソコン画面にすぐに表示されます。その場で試験結果がわかり、再受験する場合もさほど時間を置かずすぐにチャレンジできるのが、MOSの特徴の一つと言えるでしょう。

難易度

MOSの難易度はどの程度なのでしょうか。WordとExcelに設けられているスペシャリストとエキスパートの違いを比較してみましょう。まず、スペシャリストは普段よく利用されている基本的な機能が出題範囲とされており、初心者でも合格が目指せるレベルです。一方のエキスパートは、組織の中で使用することを意識した生産性の高い機能が出題範囲とされ、文書管理やデータ集計などスペシャリストに比べて高いレベルの内容となっています。

資格を取得するとどんなメリットがある?

MOSは、マイクロソフトオフィス製品のどのようなスキルをどの程度使いこなせるかを示した資格です。パソコンスキルは業種や職種、雇用形態を問わず必要なため、MOSを取得していれば就職や転職、または再就職の際に自己アピールできるでしょう。

何より、知識やスキルがあれば、普段の業務が格段にはかどることは言うまでもありません。特に、WordやExcelを頻繁に使用するなら、エキスパートレベルまで取得しておくとよいでしょう。たとえば、Wordであれば、高度な機能を使用した文書のデザインや目次・索引作成などの長文機能、Excelでは高度な機能を利用した数式の作成やピボットテーブル・グラフの作成など、業務効率化につながるいくつものスキルを身につけることができます。

実践的なパソコンスキルが得られる資格

MOSは業務で使用するパソコンスキルが基礎から応用まで幅広く習得できる、非常に役立つ資格です。認知度が高く、多くの企業で取得が推奨されていますので、資格があれば評価アップにつながりそうです。作業の効率化も図れるMOSにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。

イラスト=竹村おひたし