こんにちは。写真家の桐島ナオです。この連載では猫を一眼デジタルカメラで撮影する際のコツや撮影時の設定、レンズ選びなどを含めてご紹介します。今回は「猫が可愛いく撮影出来る構図あれこれ その2」です。

猫の色彩に注目してみる構図

前回の「猫が可愛いく撮影出来る構図あれこれ その1」では猫撮影で大切な事を記載しました。 今回はより実践的に解説していきます。 まずは個性でありチャームポイントである「瞳の色」に注目してみましょう。

「見つめられると照れるニャ!」

この写真が決定の一枚です。落ちついた薄いカーキの瞳が素敵です。ころんと横になった爪とぎベッドの色が瞳の色と全く同じ事を発見し、より色彩が引き立つ構図を探しました。

まず、最初はこの状態からスタートです。

「なんにゃ!?今忙しいニャ!」

毛繕い中を失礼します……。必死で毛繕い中の様子も可愛いのですが、毛色と爪とぎ段ボールの茶色が主張しているので構図を変えます。少し前に出て、手前の段ボールを画面の外へ逃がします。

「ん?撮影してるニャ」

毛繕いの舌を止めてしまいました。 お邪魔してすみません……ちょっとだけ撮影させて下さい……。

「うむ。付き合ってやるニャ!」

キメ顔を頂きました!……が、やっぱり段ボールの茶色が気になります。縦位置にしてみましたが、そうすると背景のカーキ色が少なくなってしまいました。

「でもここは日当り抜群ですぐに眠くなるにゃー……」

あらら。急に眠気ですか?

「ごろごろニャ……」

体勢を変えてくれました!これは期待出来そう!少し目線が高いので同じくらいになるように、下げます。

「眠い……けど撮ってるニャ?」

おっとりした表情と素敵なカーキ色の瞳。それに背景としてのカーキが入りました!ではでは、どうぞごゆっくりお眠りください~。

猫の毛色と背景が同色だと同化してしまって猫自体が目立たなくなってしまいますが、瞳の色にスポットを当てて構図を描いてみました。ここでのポイントはただ撮影するのではなく、「目的を持って構図を導く」という事です。何を撮りたいのか、どんなイメージを持つかにより構図は導かれます。撮影する前に、撮りたい猫のチャームポイントや自分自身の描きたい世界観をしっかり固める事が大切ですね。

夜のシルエットと灯りの構図

夜の灯りに佇む黒猫……とても絵になりますね。色彩とシルエット、そして光のバランスを考えて構図を導いてみましょう。

人懐こい子なので、声をかけて振り向いてもらいます。この子はカメラを全く怖がらないのでこちらを向いてくれる前から構えていますが、慣れていない子だと振り向いた先の大きなレンズにビックリしてしまう事もあるのでご注意下さい。

「おーい。こんばんは~」

「んにゃ!こんばんニャ!!」

夜の黒猫は真っ黒になりすぎないように注意をしつつ撮影をしてください。また、オートフォーカス(AF)では全くピントが合わないため、マニュアルフォーカス(MF)でピントを合わせています。ファインダーを使うと暗くて見えないので、ライブビューにてマニュアルフォーカスピントを合わせています。まんまるの黒目が可愛いですね!

「よるは元気に遊ぶ時間ニャ!」

ちょっと横を向いてくれて目線が可愛いのですが……この位置からだと左側にあるライトの光が顔にかかってしまい、顔の一部が白っぽくなってしまいました。黒猫は黒猫でキリッと黒いシルエットを表現したかったので、自分が少し右へ移動し、ライトが入らないようにします。

「はやく遊ぶニャ!!」

わくわくしたまんまるの瞳と揃えた前足、それにビロードのように綺麗で真っ黒な毛並みが表現出来ました!夜の撮影では明るい場所ばかりを求めがちですが、ISO感度を高めに設定し被写体の良さを生かせる構図も探してみましょう。(撮影データ F1.4 / 1/60 / ISO6400 / 手持ちLV使用 / MF)

最後に右側を空けたのは遊びたいワクワク感で今にも走り出しそうな黒猫の為の、走り出す「間」を表現したかったからです。今にも筆者の右手に飛びかかりそうな黒猫くんでした!(片手で撮影し、片手をヒラヒラと振っています)

ころころと変わる表情を画面内にしっかり捉え、表情にストーリー性を持たせる構図

初対面の猫撮影の際は、これくらいの距離から始めるようにしています。このフルサイズカメラで50mmのレンズです。ちょっと遠いかな?という距離からスタートです。

「ん?お前は何者だにゃ」

すみません。ちょっと撮影よろしいでしょうか……。猫が動じないので、もう一歩踏み出してみます。

「ここらで見ない顔だにゃ……」

横目で観察されています……!!ちょっとハードボイルドな香りがする表情だなぁ……と思ったのでカッコイイ雰囲気で表情を追いかけてみることにします。ポイントは顔全部と手がきちんと入っていること。動きのある表情を捉えるにはアップすぎても伝わりません。

「しょうがない。少し相手をしてやるにゃ」

ちょっと不適な笑いが溜りません!ここでシャッターを押した直後に撮影画像を確認したくなりますが、ぐっと堪えて撮影を続けます。

「しかしお前、モメゴトだけは起こすんじゃにゃいぞ」

何だか上から目線の表情がまた良いですね……。猫の動きに合わせて耳が画面から出てしまわないようにカメラも追いかけます。

「やっかいごとはゴメンだにゃ」

あくびもちょっと男前です。白ヒゲが映えます!

「怪我しないうちに消えにゃ!」

素敵な流し目が撮れました!……が、実はこれ、前足を毛繕いしている所です。 前後の繋がりでちょっとハードボイルドな雰囲気に見えますね。

こうして撮影していくうちに猫の性格や妄想が発展する事はよくあります(笑) 猫の迷惑にならない程度にお付き合いして頂きましょう!

その後、このハードボイルドなハチワレくんが同僚に何かを話していたのを偶然発見しました。

「そんな事じゃあ仔猫は助けられないぞ!!」

こんなことを叫んでいたら面白いなぁ……と考えながら撮影してみました。真剣に聞き入る2匹よりも熱血ハチワレくんを大きく入れて主役感を出しています。

こうしてただの猫撮影にストーリー性を持たせたり、性格や表情を重視する時には近づきすぎず離れすぎず、一定の距離を保ちます。連続性のある写真を撮る事で見えて来る構図もありますよ!

是非色んな猫の魅力を生かす構図を試してみてくださいね!

(写真は全て東京キャットガーディアンにて撮影いたしました)

次回

次回は読者の方からのご相談に回答する「夜の室内で猫を上手に撮るには」です。 具体的な写真の説明を交えてご紹介していきます。

著者プロフィール

桐島ナオ
写真と詩を組み合わせた物語写真を中心に発表している写真家。植物と猫とカフェが大好き。PhotoCafe写真教室の講師もしています。公式HPはこちらから。

*桐島ナオ主催の保護猫カフェ月イチ撮影会 ネコサツ!*はこちらから。