こんにちは。写真家の桐島ナオです。この連載では猫を一眼デジタルカメラで撮影する際のコツや撮影時の設定、レンズ選びなどを含めて御紹介します。前回の「撮影時の猫との接し方」に引き続き今回は「猫撮影に向いているレンズ」の御紹介です。
レンズにもいろいろあります
筆者は写真教室の講師をしていることもあり、とても多くの人から聞かれることのひとつに、「いいレンズを教えてください」という言葉があります。
この連載では「猫」に特化して御紹介しますが、基本は「自分がどういう写真がいい写真だと思っているか?」を明確にすることがとにかく大切です。どんないいレンズでも自分がいいと思った写真が撮れるとは限りません。一眼レフカメラやミラーレス一眼はレンズを交換することによって、自分が得たい表現を得ることができます。一般的に良いレンズを買えば、自分が撮りたい写真を撮れるわけではないのです。
自分が撮りたいイメージと、撮りたい猫の性格を考えてみる
「じゃあどんなレンズを選べばいいの!?」と思われるでしょうが、その前に自分が撮りたい写真や好みの写真を思い描いてみましょう。この連載名は「猫の撮り方」ですから、この場合は「撮りたい猫がどんな猫なのか」ということを思い描く必要があります。
「やんちゃな子を元気一杯に撮ってみたい!」「いつも眠ってばかりのぼんやりさんをふんわり撮ってみたい!」「大好きなあの子の肉球をドアップで撮ってみたい!」などなど、そのイメージにもいろいろあると思います。
今回は、標準ズームレンズ(ほとんどがカメラボディとセットで販売されている汎用レンズです)以外のオススメレンズを、撮りたい猫ごとに御紹介します!
やんちゃな猫を撮るには「広角からのズームレンズ」がオススメ
猫じゃらしで遊んだり、あっちこっち走り回ったり……。カメラを比較的気にしない、目の前でシャッターを押せるやんちゃな猫の場合は、ぐっと猫に近寄って、動きのある写真が狙えます!この場合のおすすめレンズは「広角からのズームレンズ」です。
焦点距離(レンズについている○○mmという数字)が小さいレンズを選びましょう!使うカメラボディにもよりますが、8~20㎜程度のレンズを使用すると、カメラの前の動動きのある被写体をスムーズに捉え、背景も余裕でいれることができます。
しかし、接近しないとアップにすることができないので、カメラそのものや大きなレンズを怖がる猫には、広角レンズはお勧めできません。
眠ってばかり猫を撮るには「F値の小さなレンズ」がオススメ
眠ってばかり猫を撮る場合のおすすめレンズは、F値の小さな「背景がぼかせるレンズ」です。背景を大きくぼかすためには、「F値を小さい数字に設定できるレンズ」が必要なのです。
背景がぼかせるレンズは高額のものもありますが、最近はお手頃価格なものも多く発売されています。カメラボディと同じメーカーではなくとも、装着できるものもありますので、是非使ってみてください!
「よりふんわりした写真を撮りたい」という方には、40mm以上の焦点距離のレンズがお勧めです。
そして、撮影の際は、カメラの撮影モードをF値を自分で設定できる絞り優先(Av)、若しくはマニュアル(M)にし、F値を小さな数字にしてくださいね!
なお、こちらの写真の設定は下記の通りです。
・カメラ Canon5DMark2 + レンズ EF50mmF1.2L マニュアル撮影
・F1.8 1/40 ISO640 手持ち撮影
F値が小さなレンズは、ほとんどが「単焦点レンズ」と呼ばれるズームができないレンズです。アップで撮る時は自分が近づき、全体を撮りたい時は自分が下がります。なので、動きが制限されるような狭いお部屋や遠くの外猫を撮りたい!という場合には向きません。
ドアップで撮りたい場合はマクロレンズがオススメ
ドアップで撮りたい場合、ずばり、おすすめはマクロレンズです。このレンズをつけると猫にぐっと近づいて撮影できます!
マクロレンズとは、昆虫の写真やお花のアップの写真でおなじみの、「被写体の一部をクローズアップして撮影できるレンズ」です。要するに、接写ができるレンズ。先ほどの広角レンズの接写と違うのは、被写体の一部に寄って撮影ができる!という点です。
全体に近づくのではなく、ごく一部の切り取りたい部分、大好きな部分をアップにすることができます。なので、大好きな子の大好きな場所をピンポイントで写真に撮れるのです。
マクロレンズと言っても、アップの度合いや撮影範囲は自分の撮影距離の保ち方や猫の動きによりけりです。マクロレンズのほとんどが単焦点レンズなので、自分で前後に動いて猫との距離とピントの位置を確認しながらじっくりシャッターを切ると良いですよ。猫との距離をとれば、普通の写真も撮影することができます。
マクロ撮影をする際は、少しの動きでピントがズレてしまうので注意してくださいね。近寄って撮るのがマクロレンズ!と思っている方も多いですが、離れて撮影しても素敵な雰囲気の写真が撮れます。
まとめ
上記にあげたレンズは特性のほんの一部です。工夫次第で、1本のレンズでたくさんの写真が撮れます。レンズ交換も楽しいですが、レンズを使い分けるだけでなく状況を見て距離や光を読むことがとても大切です。
また、自分が撮りたいイメージと一緒に、猫の性格も考慮した上でのレンズ選びができるとお互いの距離が縮まると思います。是非一緒に楽しむ気持ちでレンズ選びをしてください。
(写真は全て東京キャットガーディアンにて撮影いたしました)
次回予告
次回は「猫撮影における露出補正」の紹介です!
著者プロフィール
桐島ナオ
写真と詩を組み合わせた物語写真を中心に発表している写真家。植物と猫とカフェが大好き。PhotoCafe写真教室の講師もしています。公式HPはこちらから。