「本当にこの仕事、自分に合ってるのかなぁ……」。広告代理店に勤めて5年目になるE子(26歳/女性)は、そんな悩みを抱えて目の前の仕事も手につかない様子。そんな彼女に同僚がすすめてきたのは「キャリアカウンセリング」だ。
「キャリアカウンセリングって、転職先を仲介してくれるのかな?」とよく分からないながらも、取りあえずE子は、日本マンパワーのCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)である水野みちさんのキャリアカウンセリングを受けてみることにした。
堂々巡りになってしまう悩み……
水野:こんにちは。キャリアカウンセラーの水野です。
「キャリアカウンセリング」では、E子さんに仕事のお悩みを話してもらいながらE子さんが自分を見つめなおすきっかけにしていただいたり、どういう選択をしたら良いのかを一緒に考えていくお手伝いをさせて頂きます。どうぞ、ざっくばらんにお話ししてくださいね。よろしくお願いします。
まず、E子さんは今、どんな仕事をされているんですか?
E子:私は今、広告代理店で制作の仕事をしていて、今年で5年目です。仕事は主にWeb広告制作が多く、スケジュールを管理して、ライターやイラストレーターに発注し、それぞれできあがったものを一つに組んでいく、という作業をやっています。前は営業もやりましたし、Webサイトの運営も経験してきました。
水野:入社5年目で、すでにいろいろな経験をされているんですね。今のお仕事で、悩んでいることや気になっていることについて聞かせていただきますか?
E子:いろいろ考えてしまっています……。まずは、残業が多いわりに給与が上がらないこと。残業は、多いときは1ヵ月に80時間くらいになります。 拘束時間が長いわりに、スキルアップできていない気がしますし、今の自分のスキルは社会でどれだけ通用するんだろう?と考えたりもします。
それと、仕事内容が、IT系やライフ系の広告制作が多いのですが、映画やエンターテインメント系のジャンルももっと担当して経験を積みたいんです。でも興味関心分野だけやっていればいいというわけではないので…… こんなことを考えていると、10年後も今の会社にいていいのかな?って不安になります。それで最近、転職サイトで求人を見たりしているんですけど、「私の強みってなんだっけ?」、「私の持ってるスキルってなに?」と考えてしまって結局前に進めないんです。現実的に考えて、転職を選択すること自体、正解なのかどうかも分かりません。
そう考えていると堂々巡りになってしまって、どうしたらいいかわからなくなってしまいました。
水野:そうですか。E子さんは今、いろんな価値観の間で揺れているんだなと感じました。もう少しE子さんのことを教えてください。E子さんがそう思うに至った経緯や、現在、経験していることを一緒に振り返ってみましょうか。
―このあとE子は、今の職場では転職者の先輩が多く、自分ひとりが新卒社員であることから、転職を意識するようになったこと、そして、家族がE子さんの働き方を心配していることなど、E子の「価値観」や「考え方」を生み出しているさまざまなエピソードを語る。次第にE子は、夢中になっている趣味のことを話し始める……
仕事とは関係ない“趣味”の話に……!?
水野:そんなに打ち込んでいる趣味って何ですか?
E子:はい。模型やジオラマ用の素材を使って、スマホケースを作ったりしています。友達が気に入って買ってくれたりするんですよ。そういうときは本当にうれしいです。私、基本的にものを創ることが大好きなんです。
水野:それを作っているとき、どんな工程が楽しいですか?
E子:違う素材のものを組み合わせて一つのものに作り上げるときかな。それを人に見せて、喜んでもらえて、「これ欲しい!」って言ってもらえるときが一番うれしい。目新しいものを作って、人を驚かせたり、喜ばせたりするのが好きなんです。
水野:そうなんですね。とてもイキイキされているのが伝わってきます。そして、その趣味と今のお仕事の工程と、似ているところがありそうですね。どうでしょうか?
E子:たしかに似ていますね! 仕事だと、どんな広告にするかラフを描いて、それからデザインや文章を一つひとつ発注して、最終的に一つの成果物ができる。それで閲覧数やクリックをアップさせるのが今の仕事の面白さなんです。
がんばりの源は仕事へのプロ意識
水野:残業というのが転職を考える大きな要因になっているようですね。E子さんは、夜遅くて辛くても、がんばってしまうとのこと。何がそんなにE子さんをがんばらせているのでしょうか?
E子:私にとっては仕事で負けたくない、やるからにはいい成果を出したしたいという思いがあるんです。
今の仕事、転職。両方の軸で自分のキャリアを考えられるように
E子:転職することばかりにこだわっていましたが、よく考えると、今の会社でも自分らしく働ける方法はあるのかも。残業が多いのは、自分がクオリティに妥協できないからだし、自分がやりたいことと今の仕事はそれほどズレてないんですよね。でも結局、職場環境も含めて総合的に考えると今の仕事とのマッチング度は60%くらい。やっぱり80%くらいは目指したいなと思ってしまいます。
ただ、今後転職するかどうかは別にして、自分がどうしたらイキイキと働いていけるのかはみえてきたような気がします。自分はどんな能力やスキルを持っているのか、というよりも、「自分が大切にしている価値観」を考えて働きたいという気持ちになりました。
水野:その人のこだわりや大切にしている価値観というのは、その人自身が気付いていないことも多いんです。話しながら今の気持ちの源を確かめ、他者の視点で問いかけられながら、自分のことを広い視野で見つめてみると、自分の大切にしていることは見えてきます。なので、悩んだときは、一人で抱え込むだけでなく、こうしてモヤモヤを言語化することも大事なんです。
自分の中にある「気付き」を引き出すのがキャリアカウンセリング
キャリアカウンセリングを実際に受けてみたE子さんに、今日の感想を聞いてみると、「今日、お話を聞いてもらって、漠然とした悩みが少しずつ整理されて、前に進めそうな気がしてきました」とのこと。読者のみなさんも、普段キャリアカウンセラーに話を聞いてもらう機会はなかなかないかもしれない。しかし、健康診断で自分の体調をチェックするのと同じぐらい気軽に、自分のキャリアをカウンセラーに相談してみるのも“あり”だと思うのだが、どうだろうか。
次回、連載第二回では、今回登場いただいたキャリアカウンセラーの水野みちさんに、キャリアアップのためのアドバイスと、CDA(キャリアカウンセラーの実務向け資格)を取得することの魅力について伺います。
(マイナビニュース広告企画)