20代の過ごし方で30代・40代に大きく差がつく。
昔から言われてきたことで、長らく人材ビジネスで多くの方々のキャリアを見てきた私から見ても真実だと断言できます。ではいったい、具体的にどのようなことについて、どう気を付ければよいのでしょう?
うーん、よく分かりませんよね。
私は現在、経営者や経営幹部・管理職の方々に特化したキャリア支援・転職支援を行う事業会社を経営し、これまで2万人を超える経営者や幹部・リーダーの方々とお会いしました。そして、ベンチャー企業から独立系の中堅中小企業、大手企業に至るまでの、1,000名を超える経営者や経営幹部・管理職の転職を実現しています。
こうした立場から、読者の皆さんが「20代のうちに知っておきたい、やっておきたい」コツを、これから5回に亘って、「上司」「仕事」「同僚」「転職」「キャリア」それぞれについてお伝えします。まずは「上司」から!
上司に、こちらから「先出しジャンケン」しよう!
「また、A課長から突っ込まれちゃったよ。先日同行してもらったクライアントの来週のプレゼン企画書、早く出さなきゃ」
「まだやってない今週の資料整理、そろそろB部長からツッコミが来そうだな…気が重たいなぁ……」
誰もがこんな、そろそろ来るかもしれない上司からのツッコミに怯える毎日を過ごしたことがあるのではないでしょうか? こういう業務を抱えたままでいるときって、気持ちも重たくなりますし、他の仕事にも気持ちが入りにくくなるものです。
特に若手の頃にやりがちなことが、こうした業務を抱えているときに、「早くやらなければ」→「でもまだ完成していない」→「完成しないと怒られる」→「完成するまで上司にこの件に触れられないようにしよう」という、「完成するまで上司から逃げる」作戦です。
これが大きな間違い! 上司はその間、何を思っているかというと、「あの件、どうなってるのかな?」→「進めてるんだろうか?」→「本人が言って来るまで待とう」→「なかなか言ってこないな。どうなってるんだ?」→(待ちきれず)→「おい、例の件、どうなってる?!」。
もちろん上司は、あなたが宿題を完成させて持って来てくれることを待っているのですが、そのことよりも嫌(不安)なのが、「どのような状況か分からない」ことなのです。
極論、あなたが宿題が全然終わってない、手をつけていなかったとしても、あなたの現在の状況が分かっていれば気持ちは晴れる(早くやれとは言われるでしょうが笑)のです。
上司の評価が下がるのは、業務の進捗そのものよりも、業務の進捗状況がわからないことに対してです。
皆さんには、「上司が自分に、どうなってる? と言ってきてしまったら負け(イエローカード)」だということを、ぜひ覚えておいてほしいと思います。
皆さんだって、上司からあれやこれや言われたくないですよね。上司だって、本当は「どうなってる?」なんて言いたくないのです。
だから、先にこちらから、こまめに進捗報告をする。まだやってないなら、先に「すみません、まだ着手できてないのですが、いついつまでに完成させようと思っています」「いま、ここまで進んでいます。来週中には完了予定です」と状況報告を入れる。
常に先手先手で状況を報告する。それだけであなたの上司評価は相当高まります。あなたの同僚が、上司から言われて、それに答えることを繰り返しているうちに、あなたはいつの間にか、上司から、「これも頼む」「この件、どう思う?」と相談され信頼される存在となっているでしょう。
上司に「質問」「提案」を繰り返そう!
20代の特権は、何を聞いても、何を提案しても、上司からみれば前向きに受け取られることです。
30代になったら、「なんだ、そんなこともまだ分かってないのか」「もっと全体を見てから考えてものを言え」と言われてしまうようなことでも、20代、特に新卒・2卒の頃なら、「なるほど、そこが分かりにくいのか」「そういうところは知らないことなんだな」「そんな風に思うのだな」と、役立つ参考情報として受け止めてもらえます。
それだけでなく、そうした積極的な発言姿勢が、若手の頃にはそれだけで加点ポイントをどんどん稼いでくれます。
特にデキる上司なら、ずばり意見を言ってくれる20代部下は、とても可愛いし頼もしいと思っているもの。耳を傾けてくれる優秀なボスには、遠慮なくどんどん提案しましょう。それがあなたの仕事上のチャンスを呼びますし、そこで上司から貰えるフィードバックでどんどん学び成長できます。
20代のときに「聞く」「提案する」癖を身につけた人とそうでない人とでは、30代以降、数倍の差が開き、その差は年齢を追うごとに大きくなっていくばかりなのです。
上司を、自分の「お客様」だと思ってみよう!
あなたは上司を、どのように位置付けていますか?
仕事の指示を出す人。評価される人。それはそうなのですが、どうも上司・部下というと、自分の部下としての立場を受け身に思いがちです。この関係性を、自分主体に変える方法があります。それは、上司=自分への発注者、「お客様」「クライアント」だと思ってみることです。
お客様・クライアントである上司が何をしたいのか、何に困っているのか、そのために自分に何を求めているのか、あるいはこちらから提案して解決してあげられることは何か、考え、役に立つよう行動してみる。
この視点転換だけで、上司の見え方や自分の仕事の印象がガラッと変わるのではないでしょうか。お客様・クライアントに喜ばれ、評価され、リピートされるのが、営業や販売、ビジネスでの継続的な成功ですよね。同じことが、身内の上司にも言えるのは、皆さん、すでにこれでお気付きでしょう。
上司ガチャ~上司は選べない、それは会社組織の一つの真実です。色々なお客様・クライアントがいるのと同じく、さまざまなタイプの上司がいる。それを楽しむのも組織の面白いところです。
それでももし、モンスターカスタマー、モンスタークライアントのようなモンスター上司があなたの上にいて、いかんともし難いのであれば、そのときは堂々と、ホワイト上司を求めて転職を考えて良いと思いますよ。
皆さんの上司は、そんな人ではないことを信じて(期待して)おります!