"北海道は食材がおいしすぎて料理が発達しない"とよく言われます。確かに野菜も魚介もそれだけでおいしくて、凝った味付けにするのがもったいないくらい。そんな話で盛り上がっているところにカットインしてきたのは缶詰博士です。
「逆に、様々な食材をMIXする文化もあります。例えばこの缶詰」と取り出したのは、何だかとてもメルヘンチックな箱入り缶詰。一体どんな缶詰なのでしょうか?
腹立たしい合わせ技
僕にとって北海道とは"食"、この1点だ。アスパラにジャガイモ、チーズ、カニ、豚肉牛肉エトセトラ。どれを食べても誠にウマくてしかも安い。
しかし当の道民たちは、そのありがたみをあまり分かっていない。「こ〜んなの毎日食べてるよ」などとのたまうのである(ちくしょー)。
この缶詰だってそうである。単なるカニ缶かと思いきや、そうではない。何とカズノコをミックスしているのだ。カニもカズノコも、言うまでもなく高級食材。ハレの日にしか食べたことない。その2つを合わせちゃうなんて、まったく腹立たしい限りである。
箱も高級
腹立ち(というより嫉妬)を抑えつつ外箱を開ける。と、この外箱がまたぜいたくに出来ている。使われている紙が分厚いのだ。国分の「缶つま」や明治屋の「おいしい缶詰」も紙箱入りだが、それらに使われている紙よりも倍の厚みがある。
(そこはもっとコスト下げてよ)とも思うのだが、しかしこのパッケージのデザインはいい。淡いピンクの色合いに「幸福」の文字がまぶしい。
濃厚で複雑な匂い
さあ、いよいよこの瞬間であります。開缶!
保護用の紙シートをめくると、色鮮やかな脚肉とほぐし身が詰まっている。全体から立ち昇るのは確かにカニの匂いなれど、一般のカニ缶が持っている澄み切った匂いとはちょっと違う。濃厚で複雑な匂いだ。
ためらいもなくマヨネーズ
かくのごとし。添え物としてワカメも一緒に盛りつけた。
ほぐし身からいただくと、カニのうまみを味わう前にカズノコが先制攻撃を仕掛けてきた。どこを噛んでもぷちぷち弾けるのだ。つまり、高級なカズノコをふんだんに使っているということである。弾けるたびにカズノコのうまみが口中に広がり、次第に頬が緩んでくる。
脚肉の味も濃い。この缶詰は味付けにマヨネーズとアオサが使われており、それらがうまいこと混ざり合って、脚肉にしっかり染み込んでいるのだ。
カニとカズノコという高級食材を、庶民代表のマヨネーズで味付けしてしまう。何と罰当たりな所業でありましょう。しかしそれがちゃんと美味しいのだから悔しい。次第に腹立ちはおさまり、やがてそっと幸福がやって来た。
缶詰情報
味の海豊/幸福のずわいがに(税込1,080円)
同社直販サイトなどで購入可