我が家でもすっかり定番化したサバ缶。おかずにもおつまみにも活躍していますが、いつも悩むのは缶に残った汁。汁ごと食べたら塩分取り過ぎっぽいし、でも捨てるのはちょっと心が痛みます。そこで缶詰博士に相談すると、衝撃の事実が発覚。実はほとんどのサバ缶はごく少量の塩分しか使ってないそうです。

「そのまま飲んでも健康に問題ありません。それどころか栄養たっぷりだから捨てるなんてもったいない!」。

  • サバ水煮缶の内観(写真:マイナビニュース)

    サバ水煮缶の内観

おいしさと健康

ごはんにサバ水煮を乗っけて、上から缶汁どばっと掛けて、醤油を垂らして一気にかっこむ。これが幼い頃の好物だった。だってサバ缶の汁はおいしいんだもの。残すなんてもったいないもの。

しかし健康志向が高まった昨今、おいしさだけで食品を語ることは出来ぬ。健康面、栄養面でも納得できる解説が必要であります。

で、サバ缶の缶汁は健康面、栄養面から見てどーなっておるのか。まずは下の画像を見ていただきたい。

  • サバ水煮缶の栄養成分表示

    サバ水煮缶の栄養成分表示

情報は目の前に

缶詰にはたいてい「栄養成分表示」が書かれている。その食品の栄養成分(平均値)が示されているのだが、黄色で囲った「食塩相当量」にご注目。何と100グラム当たり0.7グラムであります。

このサバ水煮缶は、汁まで含めると180グラムある。それを汁ごと全部食べたときの食塩相当量は

0.7グラム×1.8=1.26グラム

ということで、ひと缶を汁ごと食べても1.26グラムの塩分しかない。一方で厚生労働省の指針によると、成人の1日の塩分摂取量上限は男性8グラム未満、女性7グラム未満。1.26グラムなら、その約5分の1であります。何となれば、サバ缶は汁ごと摂取しても塩分取り過ぎにならないんであります。

  • 上下:缶汁のお湯割り

    上下:缶汁のお湯割り

最速レシピ

おまけにサバ缶の缶汁には、血管病を予防し、ダイエットにも効果のあるDHA・EPAも溶け込んでいる。ぜんぶ摂取しないともったいない!

そこで提案したいレシピは「お湯割り」であります。缶汁を器に入れ、同量の熱湯で割る。あとはオプションだが、小口切りにした青ねぎと炒りごま(白)を散らせばさらに美味。世界最速レシピなのだ。

  • サバみそ煮缶の内観

    サバみそ煮缶の内観

みそ煮缶も同じくお湯割り

サバみそ煮缶の場合はどうか。水煮缶よりも食塩相当量が多くなるが、それでもおおむね1.5~1.9グラムくらい(100グラム当たり)。これだってお湯割りにするとおいしいし、水煮缶と同じくDHA・EPAなどの栄養が残さず取れる。

  • サバみそ缶汁のお湯割り

    サバみそ缶汁のお湯割り

量は少ない

かくのごとし。同じように熱湯で倍に薄め、青ねぎ&炒りごまを散らせばよし。ちょっとバターを落としても絶佳だ。これはつまり、即席のみそ汁だ。

ひとつだけ残念なのは、作れる量が少ないこと。お一人様分しかないんであります。ということは、台所に立った人の特権でありますね。

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」Facebookファンページも公開中。