これから旬を迎えるお魚がいわし。大きく育って脂もたっぷり乗ったいわしは、ただ塩焼きにするだけでも最高です。そんな時期にあえていわし"缶詰"を推してきたのは缶詰博士。「いえいえ、いわし缶だって旬のいわしで造ってるんですよ!」と熱く語ってきます。すみません、知りませんでした。
今回はそんないわし缶を、ある方法で劇的においしく変えるそうです。一体どんな方法なのでしょう?
ひと手間加えたいわし丼
こう蒸し暑い日が続くと、さっぱりとした酢飯が恋しくなる。酢飯は偉大である。どんな青魚を乗せても、その独特の匂いをおいしい方向へ持っていってくれる。
そこで今回はいわし塩焼缶を使ったいわし丼を提案したい。それもただ乗せるだけでなく、あるひと手間を加えてほしいのであります。そのひと手間で、いつもの缶詰が驚くほどの変身を遂げるのであります。
フィレ状で使いやすい
さあ、本日もご唱和ください。開缶!
マルハニチロのいわし塩焼缶は、身を直火で炙ってあるのが最大のウリだ。なので、開けたときに香ばしい匂いが立ち昇ってくる。
身がフィレ状になっているのも大きなポイント。通常の筒切りだとコロコロしているが、薄いフィレなら料理に使いやすい。サンドイッチの具にするのもいいですぞ。
炙り方法 その1
さて、本日もっとも重要な"ひと手間"とは何か。それは炙るということであります。耐熱皿にいわしの身を乗せ、その表面(皮目)をさっと炙ってやることで、まるで焼きたてのような風味が生まれるのであります。
炙り方は3通りある。魚焼きグリル(天火)で行う場合は、火力を最大にして、表面だけ炙るようにする。30秒から1分もすれば香ばしい匂いがしてくるので、そこで火を止めるのがよし。
炙り方法 その2
「魚焼きグリルがないよー」という御仁は、オーブントースターを使うべし。あらかじめ熱量を最大にして、1分間は余熱しておくのがポイント。トースター内が熱々になったところに、耐熱皿に乗せたいわしを投入するのだ。あとは魚焼きグリルと同じく、香ばしい匂いがしてきたらスイッチを切ればよし。
いずれにしても、加熱し過ぎには要注意だ。いわし缶はもともと火が通って調理済みだから、過剰な加熱はいわしにダメージを与えてしまう。あくまでも表面を炙って匂いを出させるのが目的であります。
炙り方法 その3
もしあなたが料理用バーナーを持っていたら幸運であります。その業火でいわしの皮を焼き尽くし……いや違った、軽く炙ってやればいいのだ。
ぱちぱちと小気味よい音を立てて皮が焦げていく様は、何やら不思議な快感を覚える。フライパンで焼いたりするのとはまったく違う、"はじめ人間"的な原始のヨロコビが湧き上がる。
出来たてを再現する
かくのごとし。酢飯に炙ったいわしを乗せて、たっぷりの薬味(大葉、酢生姜、みょうが、青ねぎ)も添え、最後にわさび醤油をちょいと垂らせば缶成!
こうして盛り付けた段階でおいしいのが分かってしまう。いわしから、食欲をそそるたまらない匂いがしているのだ。
今回使ったマルハニチロのいわし塩焼缶は、そもそも直火で焼いてある。でもそれをもう一度炙ることで、焼きたての風味がよみがえるというわけ。
他のいわし水煮缶でも、皮を炙れば同じように香ばしくなる。その素晴らしい芳香を、ぜひ皆さんにも体験してほしいと思う。
缶詰情報
マルハニチロ/いわし塩焼(75g)
希望小売価格170円(税別)
スーパーなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。