缶詰博士に影響されたのか、買い物に行くと必ず缶詰コーナーをチェックするようになりました。デザインがおしゃれになったし、缶つまのようなごちそう缶も普通にあります。選択肢が増えたのは嬉しい限りですよね。
でも、なかなか手が出ないのが貝の缶詰。おじさんがおつまみで食べてるイメージ以外、ぜんぜん思い浮かばないんです。博士に聞いてみると「むしろおっさんのイメージで食べてください。むしろおっさんになってください」とワケの分からない回答が。一体どういう意味ですか?
焼貝のユーワク
ひねもすのたり、春の浜辺をふらりと歩く。例えば江ノ島あたりを歩いていると、あちこちから貝を焼く匂いがしてくる。サザエやハマグリを炭火に乗せて、しょう油と酒をちょっと垂らして。やがて溢れてきた汁が落ちて、炭でじゅっと焦げて。ああ、たまりませんなァ。
そんなイメージ通りの缶詰が出たんです。鶏からあげ缶がブレイク中のホテイフーズさんから、「はま焼風味」という名で出たんです。
炭火焼きでリニューアル
さあ、本日もご唱和ください。開缶!(今日は貝缶にもかかってます) いきなり香ばしい匂いが溢れ、鼻腔をはげしく攻撃してくる。貝類の缶詰は昔からあるけど、このはま焼風味だけは匂いが別格。何しろ、本当に炭火で焼いているのだ。同社得意のやきとり缶と同じ手法なのだ。
この商品は以前からあったけど、2019年3月発売分からリニューアルされた。そこで焼き方が炭火焼きに変更され、味付けにも"焦がし"しょう油が加えられた。つまり、貝を炭火で焦がした上に、しょう油まで焦がしちゃってるのだ。このダブル焦がし手法(勝手に命名)が鼻腔をはげしく攻撃してくるわけであります。
おじさん飲みのアイテム
かくのごとし。エビ串という細い串に刺して盛りつけてみた。貝はマルスダレ貝という二枚貝で、ハマグリやアサリも同じマルスダレ貝科だそうな。こうして缶詰になってもぷっくりとしていて歯触りがいい。大粒で食べ応えもある。
貝を甘辛く仕上げた缶詰は、いかにもおじさんのおつまみという風情がある。そこを隠さずに、むしろ前面に押し出すことが貝類缶の基本であります。それが実は女性にも受けるのだ。
だって、サラリーマンの聖地と呼ばれた新橋飲み屋街だって、今では若い女性で溢れてますから。背を丸め、上司のうわさ話で盛り上がるおっさんの気持ちになって、このはま焼風味で一杯傾ける。なかなかいいものですぞ。
缶詰情報
ホテイフーズコーポレーション/はま焼風味
希望小売価格270円(税別)
スーパーやコンビニ、同社直販サイトなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。