懐かし缶詰の代表格、コンビーフ。前編ではあの台形の謎や最新のプラカップコンビーフをご紹介しましたが、後編では卵かけご飯専用コンビーフやおつまみになるスパイシーコンビーフ、原料の牛からこだわった究極のグルメコンビーフまで一挙ご紹介! 休日のホムパに最適なお洒落レシピもありますよ。
グルメなコンビーフ
明治屋「おいしい缶詰」は、缶詰とは思えない本格料理が詰まった人気シリーズ。そのこだわり製法で造ったのが「プレミアムほぐしコンビーフ」であります。ほぐし方がとても粗く、機械では詰められないのですべて手詰めで仕上げている。その際、熟練の職人が「これでもか!」とぎゅうぎゅうに詰めるため、フタを開けると掘っても掘ってもコンビーフが出てくるのだ。なので、個人的には「増えるコンビーフ」と呼んでおります。
牛肉は従来のコンビーフよりも脂分が少ない赤身肉風。味付けはピリッとスパイシーなので、そのままつまむだけでもハイボール、ビールのお供に最高。サンドイッチの具にすれば、ニューヨーク名物「パストラミサンド」っぽくなるのも気に入っております。
牛からこだわってみました
コンビーフの原料は牛。ということは美味しい牛から造ったコンビーフも美味しいはず……。そういう文脈で開発されたのが、広島にある「なかやま牧場」の「なかやま牛・亜麻仁の恵コンビーフ」。そう、牧場が開発したコンビーフなのであります。
原料の牛は、亜麻仁(あまに)由来の成分を3カ月以上与えて育てたそうな。亜麻仁は油が取れる植物で、オメガ3系脂肪酸が豊富。そんな亜麻仁で育った牛ちゃんは、すっきりとキレのいい脂を持つようになった。
このコンビーフも、うっとりとした脂が口中に広がるが、飲み込んだあとはすっきりしている。「脂こそうまみ!」と考えている人にはぜひオススメしたい。
味付けが決め手
コンビーフで忘れちゃいけないのが国分のK&Kブランド。同社は今や「缶つま」で有名だけど、K&Kだってずっと続いているのだ。そんな老舗ブランドから2017年に登場したのが「たまごかけごはん専用コンビーフ」というシロモノ。
白飯に生卵をかけて食べるのが卵かけご飯 (TKG)。そこを基本にしつつ、いろんな具を足していく愉しみもあるわけで、コンビーフを足せば親子丼ならぬ他人丼になるわけです。
このコンビーフがすごいのは、生卵と混ざりやすいようにしっとり柔らかくしたこと。さらにカツオ&昆布エキスを加えて和のテイストに仕上げたこと。本当にTKGのことを考えて開発されたのだ。もしそのままつまんだら「た、頼むから白飯くれ!」と叫ぶこと間違いなし。
休日のホムパにも!
ウィークデイを懸命に働いたのだから、休日には気の置けない友人と集まりたい。そんなときに役立つのが缶詰を使った「缶たんレシピ」。前編では手巻き寿司を紹介したので、今回は洋風に行こうと思う。料理名は「タルタルコンビーフ」であります。
ボウルにコンビーフをあけてほぐし、みじん切り玉ねぎ(コンビーフと同量)、みじん切りピクルス(コンビーフの1/4)、みじん切りケパー(コンビーフの1/8)、レモン汁(適量)を入れてよく混ぜる。その半量を皿に盛って、みじん切りパセリを乗せ、残り半量を乗せて黒コショウをかければ缶成! ワインがすすむお洒落コンビーフですぞ。
缶詰情報
おいしい缶詰・プレミアムほぐしコンビーフ / 明治屋
価格 税別550円程度
明治屋ストアー、通販サイトで購入可
なかやま牛・亜麻仁の恵コンビーフ / なかやま牧場
価格 税別926円程度
なかやま牧場牛肉通販サイトで購入可
K&Kたまごかけごはん専用コンビーフ / 国分
価格 税別380円程度
スーパー、通販サイトなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。