熱々の白ごはんに合うおかずは何? この永遠の命題に対する缶詰博士の答えは「缶詰です!」と、予想通り過ぎる答えが返ってきました。

ではどんな缶詰がいいのか尋ねてみると、しばらく考え込んだのちにひと言。「今ならこれ。マグロ缶です」

えと、マグロ缶って聞いたことがないのですが、何なんでしょうか?

  • SSKセールス「うまい! 鮪生姜入り醤油仕立て」

マグロ缶の立ち位置

缶界には「マグロ缶」というジャンルがある。その代表的なのはツナだが、それ以外にもマグロを使った缶詰が存在するのだ。マグロステーキとか、味付けマグロフレークなどであります。

マグロフレークは見た目がツナそっくりだが、立ち位置が大きく違う。基本的に塩味のツナに対し、マグロフレークは甘辛い砂糖醤油味である。したがってサラダや和えものに使うより、ごはんやうどんにぶっかけるのに適している。

  • 栄養成分表示を確認

塩分を気にしてみる

ぶっかけ系ということは味付け濃いめ。となれば塩分がどれだけ入っているのか気になる方も多いと思う。

最近の缶詰には栄養成分が表記されていて、塩分量は「食塩相当量」を見れば判る。このマグロ缶の場合、1缶あたり1.8グラム(液汁を含む)とあった。一日に摂っていい塩分の上限は女性7.5グラム、男性8グラムといわれているので(厚生労働省の指針)、これ1缶を汁ごと食べても大丈夫なはずだ。

おっと、順番が後先になってしまったが、今回ご紹介したいのはSSKセールスの「うまい! 鮪生姜入り醤油仕立て」というもの。製造は宮城県気仙沼市にあるミヤカンが請け負っている。

  • 開缶! 生姜がいっぱい

損得どっち?

さあ本日もご唱和ください、開缶!(声に出してね)。おや、生姜のみじん切りが表面をびっしり覆っている。肝心のマグロが見えない。

嬉しい気持ちになったが、すぐに「いやいや、メインのマグロがその分少ないんじゃないの?」とブラックなもう1人の博士が囁く。損をしてるのか得をしてるのか判らぬ。とりあえずマグロの姿を拝むことにする。

  • マグロを確認

マグフレの法則

フォークですくったら、出てきましたマグロフレーク。しかもフレークがけっこう大きめだ。マグロのフレークは、1フレークあたりの体積が大きい方が人は感動する。これを缶界では「マグフレの法則」と呼んでいます(ウソです)。

この大きなフレークがぎっしり詰まっていて、その表層に生姜のみじん切りが敷き詰められていたのだ。損はしてなかった。

ということで、熱々の白ごはんに乗っけましょう。これで1缶の半量分。見事なまでに茶色いごはんなり。

さらにバターをON! いつもの自分なら青ねぎか大葉をトッピングするが、今回はそんな小細工なし! 何しろもう、生姜のたまらない匂いが立ち昇ってくるのだ。

さっそくいただくと「ふごす」というワケの判らぬ声が出た。甘じょっぱいマグロと、その味が染み込んだ生姜のみじん切りがたまらなく美味しい。

そして、その両者に浸食された白ごはんがウマい! 生姜はしゃくしゃくという歯触りが絶妙。その合間にバターが絡み合い、思わず2度目の「ふごす」が出る。

気付けば白ごはんをおかわりし、缶詰の残り1/2をためらうことなくぶっかけていた。都合約1合の白ごはんを缶食(完食)であります。この満足感ならお弁当に持っていくのもいいかもです。

缶詰情報
SSKセールス/うまい! 鮪生姜入り醤油仕立て(70g)
参考価格140円(税込み)
全国のスーパーやネットショッピングで購入可

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」Facebookファンページも公開中。