毎年のように大きな災害が起こる日本。いざという時は「行政まかせにせず自分たちで何とかする"自助"が大事!」と、缶詰博士の黒川氏は言います。そのためには最低限の水や食料を備えておく必要がありますね。
「缶詰も備蓄食に向いています。最近は1缶でごはんとおかずがまかなえる便利な缶詰が増えてますよ」
長年の悲願
ごはんとおかずが一緒に入った缶詰を、ぼくは"ごはん缶詰"と呼んでおります。
災害時にごはんとおかずを用意しなくていいから配膳が楽、かつ手早く準備できる。食後のゴミは基本的に空き缶だけなので、災害ゴミ(災害廃棄物)が少なくてすむ。防災備蓄食として優秀なのだ。
木の屋石巻水産が4月に発売した「あなご飯」と「たこ飯」も、そんなごはん缶詰に分類される。
同社は2011年の東日本大震災で大変な被害に遭っており、その経験から「我が社でもごはん缶詰を造りたい!」と、長い年月を掛けて開発に取り組んでいたそうな。
一体どんな仕上がりになったのか、2商品のうちの「たこ飯」を検証してみよう。
白米ではなく玄米
まずは被災時を想定して、常温のまま開けてみる(室温20℃)。
ごはんは冷えて固まっているが、立ち昇る匂いはまさしくタコ飯。すなわちタコとごはんをダシで炊いた、ちょっと駅弁を思わせる匂いであります。
ほんのりワラっぽい匂いがするのは、白米ではなく玄米を使っているからだ。ヌカと胚芽が残っている玄米は白米よりも栄養素が豊富で、栄養が偏りがちな被災時にはありがたい。
プチプチ食感
常温のまま食べてみると、玄米は表面にハリがあり、弾力があってふっくらしている。かむと胚芽のプチプチ食感も味わえる。
タコはかむと繊維状にほぐれ、中からうまみとしょうゆ味がじわっと出てくる。まるで駅弁を食べているようで、ちゃんとおいしい(駅弁は常温が当たり前だけど日持ちしない)。
ラベル表記には「温めるとさらにおいしく」とあるので、中身を耐熱容器に移して軽く電子レンジで温めると、全体の香りがぐっと引き立った。玄米につやが出てハリ・弾力もUP。タコの風味も高まった。いや、分かっていたことではありますが。
お茶の配膳があれば
ふと思いついて、タコ飯に熱いお茶をかけてみた。玄米がすぐに柔らかくなったが、胚芽のプチプチ食感は残っている。お茶の渋みとタコ飯との相性もよく、さらっと食べられていい。あ、でも玄米だから、ちゃんとかんで食べた方がいいだろうな。
被災時にこんな食べ方が出来るのか分からないけど、もしお茶の配膳があれば、こんな方法でタコ飯を温めることも可能なわけだ。
いずれにしても、このごはん缶詰は味付けが濃くなくていい(食塩相当量は1缶約1.3g)。喉が渇きにくいから、水が入手しにくい被災時にありがたいことであります。
缶詰情報
木の屋石巻水産/たこ飯 160g 660円
同社直販サイトなどで購入可