懐かし缶詰の代表格、コンビーフ。「くるくる回して切るのがいい」とか、「ドラマのオープニングでやってた丸かじりに憧れた」とか、あるあるネタもたっぷり詰まってる。でも、なぜ台形なのか? 何の肉を使っているのか? 軽〜く疑問だったことを前編・後編の2回に分けてお教えします。忙しいビジネスマンにオススメの驚きの缶たんレシピもありますよ!
あの形には訳がある
まずはあの形。正位置で見ると台形をしているが、工場で肉を詰めるときには逆さまにして使う。すなわち、下がすぼまった状態であります。
肉は缶内の隅々まで詰めねばならぬ。もし隙間ができると、そこに残った空気が肉に触れて変色したりする。そこで考え出されたのがこの形で、狭いほうへ詰めていくことで圧力が高まり、空気が上から逃げやすくなる。さらに肉詰め後は、缶を持ってトントンしたりする。美味しいコンビーフを造るには、細やかな心配りが必要なのであります。
と、従来はそんな造り方をしていたのだけど、今では機械や詰め方が進化して、こんな丸い缶にも詰められるようになった。コンビーフも進化しているのだ。
馬もウマし
コンビーフはもともとCorned Beef、すなわち塩漬けの牛肉のこと。だから缶詰のコンビーフも牛肉100%なのだけど、そこに馬肉をミックスしたのが「ニューコンミート」というやつ。その配合割合は馬肉80%以下、牛肉20%以上と決められております。 ニューコンにはちょいとワイルドな風味があって、コンビーフよりも「ニューコンのほうが断然好き」という人も多い。価格はコンビーフの約半額とお得です。
容器の進化もすごい
明治屋が2012年に発売したのが「コンビーフ スマートカップ」。何と容器がプラスチックなのだ! それでいて賞味期間は3年と、従来と同じ。基本的な製造方法は金属缶と同じなので、いわば"進化形缶詰"ということになる。 軽いから持ち運びがラク。中のアルミフタをはがせば、そのまま電子レンジで加熱できる。鋭い切り口がないからきれいに洗って捨てられる……と、時間のない会社員にとってもいいことずくめ。鍵を使ってくるくる開ける楽しみはないけど、この利便性は見逃せませぬ。
ヒントはトロたく
ということで、今回の缶たんレシピはコンビーフを使った手巻き寿司。その名も「コンたく」であります。 お寿司屋さんにいくと「トロたく」という巻き寿司がありますね。まぐろの中落ちと千切りたくあんを巻いたやつ。あれと同じことをコンビーフでやるわけです。牛脂の入った柔らかいコンビーフは、脂の乗った中落ちと舌触りが似ている(と思う)。そこに甘辛いたくあんのポリポリ食感が加わり、酢飯と海苔が全体をまとめてくれる。大葉が入ればなお良し。オススメですよ!
缶詰情報
ノザキのコンビーフ各種 / 川商フーズ
オープン価格
スーパー、コンビニ、通販サイトで購入可
MY コンビーフ・スマートカップ/明治屋
価格 税込416円前後
明治屋ストアー、通販サイトで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。