「缶詰があれば旅行気分が味わえる!」と、缶詰博士の黒川氏はよく言います。ご当地缶詰や海外の缶詰を食べれば、その土地で食事をしている気分になれるということでしょう。
「べつに特別な缶詰じゃなくてもいいんですよ。味変してその土地の料理に仕立てちゃえば」
なるほど。で、味変とは具体的にどんなやり方があるのですか、博士?
ポキ丼を再現
外国の方がおっしゃる。日本の物価がすごく安くなり、買い物をしても飲み食いをしても「だいたい自国の半額だね!」と。とくにヨーロッパやアメリカから来る人がそう感じるらしい。
為替は相対的だから、逆に日本人が海外に行くと大変なことになる。物価が「だいたい日本の倍だね!」ってことになる。当分は海外に行けそうもない。
なので、缶詰! 身近にある缶詰を外国料理に仕立てて、その土地にいるような気分を手軽に味わいたい。今回はメカジキの煮付け缶詰を使って、ハワイ名物「ポキ丼」を再現することにした。
一見すると豚の角煮
メカジキはカジキマグロとも称されるけど、マグロ(サバ科)とは別種のメカジキ科に属する魚だ。煮付けやムニエルにすると抜群にウマい。
そのメカジキを砂糖としょう油、ショウガなどで甘辛〜く煮付けたのが、気仙沼ほてい「気仙沼産めかじき・やわらか煮」缶である。しょう油色の缶汁に、ひと口大に切ったメカジキの身が浸った様子は、一見すると豚の角煮のよう。でも、匂いは明らかに煮魚の匂いだ。そのギャップがちょいと面白い。
東北風の甘い味付け
一片を箸で取り上げると、肉と脂身が層を成していて、やっぱり豚の三枚肉のように見える。ただ豚肉とは違い、身がとても柔らかい。箸で強くつまむとほろほろと崩れそうである。
このままパクリといただくと、うんうん。脂身は噛まずともトロリと溶け、甘いジュースとなって舌を覆う。肉は繊維状に崩れていき、煮魚らしいうまみがにじみ出る。
缶汁を舐めてみると、味付けがいかにも東北風。つまり砂糖の甘さを前面に出した味である。この缶汁を、うまいことポキ丼のタレに味変したい。
かくのごとし。メカジキのほかにアボカド、ベビーリーフ、グリーンレモン(今の時期だけ。同じ個体がやがてイエローに変化する)を使ったポキ丼の缶成であります。甘い缶汁はゴマ油、ラー油、レモン汁を加えてタレとし、上からたっぷり回し掛けた。
脂が乗ったメカジキがそもそもウマいが、その東北チックな煮付けの味をレモンとラー油がきゅっと引き締めている。アボカドのこってりしつつも青っぽい風味が良く合い、文句なしのポキ丼になった。
まっ、これはこれとして……。リアルでハワイに行きたいなァ。
缶詰情報
気仙沼ほてい/気仙沼産めかじき・やわらか煮(醤油味) 170g 486円
同社の直販サイトなどで入手可