缶詰博士の黒川氏によると、缶詰は食べものをムダにしない食品の元祖だそうです。
旬の時期にたくさん獲れた果物や山菜、魚介などを保存できるので、食べきれず捨ててしまうのを防げるとか。今で言うSDGsな食品なのですね。
「中でもとくにSDGsな缶詰を2週連続で紹介します。今週はいわしの尾肉の缶詰です!」
尾肉というと、尾っぽの肉ということでしょうか。どんな缶詰なのでしょう?
損をしたような気持ち?
魚でもっとも脂が乗ってるのはおなかのあたりだ。「そこが一番おいしい!」と思っている消費者が多いので、缶詰メーカーもおなかをメインにして缶詰を製造しております。
僕も同じで、おなかの太い身ばかり入っていると嬉しくなる。逆に、尾に近い部位が入っていると、何となく損をしたような気持ちになる。
しかしタイム缶詰の「いわし尾肉缶」は、尾に近い部位ばかりを集めてしまった缶詰だ。どの部位もムダにしないSDGsな発想ではあるけど、はたして脂は乗っているのか? つまりおいしいのか?
大量の脂がキラキラ
常温のママ開缶すると、まず見えたのが脂の層だった。この缶詰の原料はイワシと塩だけなので、わざわざ脂を加えたわけじゃない。それなのに、こんなに大量の脂がキラキラと輝いているのだ。
おまけにいい匂いがする。イワシには特有のえがらっぽい匂い(苦みを連想させる青臭い匂い)があるはずなのに、それがない。まるで焼いたニシンのような香ばしい匂いがする。
肉が引き締まっている
尾肉がどんな様子か知りたかったので、トレーに取り出してみた。確かにどの身も片方がすぼまっていて、その先が尾っぽだったことが分かる。さすがに尾びれは付いていない。
そのままひと切れをつまんでみると、驚いた。細い部分まで脂がしっかり乗っていたのだ。パサつきやボソボソ感があると予想していたけど、それはまったくナッシング。
とはいえおなかのように柔らかいわけじゃなく、みっちりとした歯触りがある。尾を動かす部位なので、肉が引き締まっているのだろう。いい食感であります。
日本缶詰大賞で金賞
かくのごとし。豆腐半丁をすり潰し、パセリと合わせたものでいわし尾肉を和えて白和えとした。味付けはゴマ油と塩であります。
豆腐のクリーミーな風味とパセリの爽やかさ、ゴマ油の香りが合わさって、ちょいと上品な一品料理のようだ。残っていた缶汁は熱湯で割って、イワシスープとしていただいた。
ちなみに、この缶詰は作り手のこだわりやSDGsへの貢献などを審査する「未来の食卓アワード2022・日本缶詰大賞」で金賞を受賞している。これまで使われなかった尾肉を活用したのはもちろん、そのおいしさも評価されたのであります。
缶詰情報
タイム缶詰/いわし尾肉缶 180g 324円
直販サイト「登喜家」でセット販売中