これまで世界53ケ国、1,500種類以上の缶詰を食べてきたという缶詰博士の黒川氏。今も毎日3缶以上は食べているそうですが、一番多く食べているのは何の缶詰ですか?
「まっ、間違いなくサバ缶です。それも水煮。幼い頃からずっと食べていて、未だに飽きないんですよ!」
今回も新しいサバ水煮缶をチェックしたとか。どんなサバ缶なのでしょう?
ノルウェーサバを使った意欲作
新聞を読んでいたら、日本人の魚食離れが著しいという特集記事があった。
(何だ、そんなことは前から言われてるじゃん)
と文句を言いそうになったけど、示されていたデータを見てがく然とする。日本人1人あたりの消費量がもっとも多かったのは2001年度で、40.2kg。それが2021年度には23.2kgまで減ったそうな。ほぼ半減じゃないか(日経新聞8月1日、ビジュアル解説面)。
調理が面倒とか、生臭いとか、魚離れの理由はいろいろあるようだ。そこで僕はあらためてサバ缶を推したい。調理不要、生じゃないから生臭さはナシ(魚臭はあるけど)。中でも水煮は塩味だけのシンプルさゆえ、食べ飽きない。
缶詰メーカーも、サバと塩だけで勝負する水煮には力を入れている。4月に発売された清水食品「北欧さば水煮」も、脂ノリのいいノルウェーサバを使った意欲作であります。
うま味が溶け込んだ缶汁
本日の室温は28℃。常温のママ開缶すると、加熱されたサバの香ばしい匂いが広がった。
澄んだ缶汁の表面に、黄金色の脂が浮いて層をなしている。これはすべてサバから出た脂で、身体にいいDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)の宝庫であります。
その缶汁をちょいとすすると、サバのうま味が溶け込んでいてまことにウマい。塩気もほどよく利いております。
トラ模様がノルウェーサバの証し
サバの身を取り出すと、もっとも脂が乗った腹の部分から、尾に近い部位まで3切れ入っていた。ノルウェーサバ(タイセイヨウサバ)の特徴であるくっきりしたトラ模様が見てとれる。
これだけの量があれば大人2人分のおかずとして充分だ。僕がもっとも愛する「炙りサバ丼」にしていただこう。
全域がジューシー
かくのごとし。サバの身は骨にそって半分に切り、魚焼きグリルやオーブントースターで皮を炙るのがポイントだ。表面がチリチリと焦げるまで炙ると、とたんに香ばしい匂いが立ち昇るのだ。
それを薬味といっしょに白ごはんに乗っけて、しょう油を「ちー」と垂らせば缶成。なお、薬味には酢生姜がマストであります。
ひと口いただくと、さすが脂ノリの良さで知られるノルウェーサバ。腹の部分だけでなく、背にもサシが入って全域がジューシー。しょう油と薬味との相性もよく、酢生姜のおかげでちょいと海鮮丼っぽい味になっております。
かくのごとし、パート2。炙りサバ丼でも食べきれなかった分は、チーズトーストに乗せてサバのオープンサンドにした。味付けはオリーブ油と黒コショウ、レモン汁だ。
こうしてサンドイッチにする場合も、皮目を炙ってから使うと抜群においしくなる。なお残った缶汁は熱湯で割り、サバスープとして堪能しましたぞ!
缶詰情報
清水食品/北欧さば水煮 175g 530円前後
マックスバリュなど一部の店舗で購入可。9月から成城石井でも販売予定あり。